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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2013.7.3

2013年7月3日 担当:秋山有佳

A Randomized Trial of Sugar-Sweetened Beverages and Adolescent Body Weight.
~ 砂糖入り飲料が青年期(若者)の体重に与える影響についての無作為化試験 ~
出典: The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE(2012;367:1407-16)
著者: Cara B. Ebbeling, Ph.D., Henry A. Feldma, Ph.D., Virginia R. Chomitz, Ph.D., Tracy A. Antonelli, M.P.H., Steven L. Gortmaker, Ph.D., Stavroula K. Osganian, M.D., Sc.d., and David S. Ludwing, M.D., Ph.D.
<論文の要約>
背景:
砂糖入り飲料の摂取は、過剰な体重増加の原因の可能性がある。我々は、過体重と肥満の若者達に自宅でのノンカロリー飲料の供給を含めた介入で体重増加の影響を評価することを目的とした。

方法:
我々は、砂糖入り飲料を習慣的に摂取していた過体重と肥満の若者224名を、介入群と対照群に無作為に割り付けた。介入群は、砂糖入り飲料の摂取量を減少させるデザインの1年の介入と、介入のない追加年の追跡を受けた。我々は、介入群では対照群より体重の増加が緩やかであるという仮説を立てた。

結果:
追跡率は1年で97%、2年で93%であった。砂糖入り飲料の摂取量は、介入群と対照群においてベースライン時で類似しており(1日に1.7サービング)、1年では介入群ではほぼ0まで減少し、2年では対照群より介入群で低いままであったと報告された。主要なアウトカムである2年間でのBMIの平均の変化は、2つの群で有意な違いはなかった(介入群の変化-対照群の変化=-0.3、P=0.46)。しかし1年間では、BMIの変化(-0.57、P=0.045)と体重の変化(-1.9kg、P=0.04)において2つの群間で有意な差がみられた。我々は、1年後の結果(P=0.04)そして2年後の結果(P=0.01)で民族群による作用修飾を見つけた。民族群による事前に示された分析では、ヒスパニック系の参加者(介入群のうちの27名、対照群のうちの19名)の間で、1年間(-1.79、P=0.007)と2年間(-2.35、P=0.01)におけるBMIの変化に有意なグループ差がみられたが、ヒスパニック系ではない参加者の間では見られなかった(1年と2年でP>0.35)。全体重における体脂肪率の変化は、2年で群間に有意差はなかった(-0.5%、P=0.40)。研究参加と関係する有害事象はなかった。

結論:
過体重と肥満の若者達におけるBMIの増加は、砂糖入り飲料の摂取量を減らす1年の介入後で対照群よりも介入群で少なかった。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■Recruitment及び割付け方法について、プロトコールには明記されているが、本論文中には明記されていないため、この論文だけを読む場合では不親切である。本文中に明記した方が良い。

■ヒスパニック系民族で、BMIと体重に有意差が見られた要因として、ヒスパニック系民族群のベースライン時の値が他の群と比べて大きかったため、減少しやすかったのではないかという可能性が考えられる。

■男女別の解析は行わなかったのか。成長期であるこの時期の男女を一緒に解析することは問題があるのではないだろうか。

■本研究は、介入群への1年間の飲料提供、両親への電話掛け、対象者の訪問等、大変多くの費用がかかっており、また追跡率も優れたRCTであることがNEJMに掲載された大きな要因と考えられる。



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