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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2013.9.4

2013年9月4日 担当:秋山智樹

Prolonged Bottle Use and Obesity at 5.5 Years of Age in US Children
~ 長期にわたるボトルの使用と5歳半の児の肥満の関係 ~
出典: THE JOURNAL OF PEDIATRICS 巻: 159号: 3 ページ:431-6
著者: Rachel A.Gooze, MPH ,Sarah E.Anerson ,PhD, and Robert C.Whitaker ,MD,MPH.
<論文の要約>
目的:
長期のボトル使用と5歳半児の肥満のリスクの関連性について調査する。

方法:
デザインは前向きコホート研究であり、データは乳幼児縦断・出生コホート研究(ECLS-B)で集められた。ベースライン調査として、9ヵ月時点で10700人の児の性・年齢・双子・人種/民族・母親の教育歴・収入対貧困率・片親であるか・母乳育児・固形食品の導入期間・身長・体重に関して調査を行った。また、出生体重は出生証明書の記録、テレビ・ビデオ等の視聴時間については24ヵ月のものを使用した。曝露因子は24ヵ月時点でのボトルの使用であり、9850人の児に対して、日常の飲料容器の使用が「ボトル・シッピーカップ・普通のカップ」の質問においてボトルの場合にボトルの使用とし、就寝時のボトルの使用についても分類された。アウトカムは5歳半の肥満であり、6950人の児に対して2000年のアメリカの成長基準を参照し、性別と年齢を調整したBMIの95パーセンタイルを肥満と分類した。解析は24ヵ月時のボトルの使用の有無、5歳半の身長・体重の情報がある児6750人に対して行われ、初めに共変量について、長期のボトル使用と肥満有病率の関連付けを行った。その後ロジスティック回帰モデルを使用し、長期ボトルの使用と5歳半の肥満のオッズ比を算出した。まず未調整のオッズ比と95%信頼区間を示し、共変量で調節した結果も示した。

結果:
5歳半での肥満の有病率は17.6%であり、22.3%の子供が24ヵ月時点でボトルを使用していた。また、24ヵ月時点でボトルを使用した5歳半児のうち22.9%(95%信頼区間:19.4%-26.4%)が肥満であり、使用していなかった児の肥満の有病率は16.1%(95%信頼区間:14.9%-17.3%)であった。潜在的な交絡因子(社会的特徴、母親の肥満・喫煙、母乳育児、固形食の導入時期、テレビ視聴時間、出生体重、9ヵ月児の体重)の調節後も、長期のボトルの使用は、5歳半児の肥満のリスクと関係していた。
(オッズ比:1.33, 95%信頼区間:1.05-1.68)

結論:
長期のボトルの使用は5.5歳の肥満と関連があった。この行動を避けることは、子供の早期の肥満を防ぐ可能性がある。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■発表の際には、ベースライン調査、曝露、アウトカムの流れについてしっかりと定義すべきである。本研究では、9ヵ月時にベースライン調査、曝露として24ヵ月時のボトル使用、アウトカムは5歳半での肥満であった。

■5歳半での参加は6950人であったが、解析では6750人であった。これは、24ヵ月時にボトルの使用の情報、5歳半において身長・体重の情報がある児に対して解析を行ったためである。

■ボトルの定義や中身について、明確な情報のない研究であった。ボトルとはなにか、本文で説明が欲しい。



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