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山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2013.10.9

2013年10月9日 担当:田村

Lifestyle, social factors, and survival after age 75: population based study
~ 生活習慣、社会背景と75歳以上の生存期間 地域ベースのコホート研究 ~
出典: BMJ 2012;345:e5568(web:http://www.bmj.com/content/345/bmj.e5568)
著者: Debora Rizzuto,Nicola Orsini, Chengxuan Qiu associate, Hui-Xin Wang s,Laura Fratiglioni
<論文の要約>
目的:
75歳以上を対象とした長寿に関する改善可能な要因を同定すること

デザイン:
地域住民を対象としたコホ-ト研究

セッティング:
スウェーデン、ストックホルムのKungsholmen

対象者:
Kungsholmen projectに参加し、18年間追跡された75歳以上の高齢者1810人

主なアウトカム:
死亡時の年齢の中央値、1987年から2005年までの生存状況

結果:
追跡中に1661名(91.8%)が死亡した。参加者のうち半数以上が90歳以上生存した。喫煙者の半数は非喫煙者に比べて1.0年(95%信頼区間0.0-1.9年)早く死亡した。余暇活動のうち身体活動に関するものが生存期間に影響を最も与えていた。定期的な運動(水泳、散歩、体操)を行っていたものは、行っていないものに比べて2.0年(95%信頼区間0.7-3.3年)長く生存した。危険度の低い(健康的な生活習慣、少なくとも一つの余暇活動への参加、そして豊かな、あるいは中程度の社会的ネットワークを持つ)人は、危険度の高い(非健康的な生活習慣、余暇活動に参加していない、限られたあるいは乏しい社会的ネットワークしかない)人と比べて、生存期間の中央値が5.4年長かった。85歳以上の場合、また慢性疾患を持つ人でも同様の傾向があり、危険度の低い人の生存期間の中央値が危険度の高い人に比べて4年長かった。

結論:
75歳以上の場合でも、喫煙しないことや身体活動などの生活習慣はより長い生存期間と関連していた。危険度の低いプロフィールは女性で6年、男性で5年、生存期間を延長した。これらの関連は、少し弱まるが、85歳以上の慢性疾患を持つ人でも同様に存在した。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■男女比で女性が多い傾向があった。このことが社会経済的背景に影響しているのではないか。また、教育歴に関して8年で分けているがスウェーデンの初等教育は何年か。補足:1930年代は7年で1950年代ごろから8年になった。

■Table3ではそれぞれのカテゴリにおける対象者数も記載したほうが良いと考えられた。特に女性が多い傾向にあり、その影響を受けている可能性もある。

■著者らはデータに欠損がない完全なデータセットを用いて解析を行い、その後、欠損値を補完し感度分析を行っているが、補完の根拠となっているのは完全なデータセットであり、この感度分析によってSelection Biasがないと結論づけることは難しいと思われた。


laplace回帰については、以下の資料参照。
http://www.stata.com/meeting/sweden11/abstracts/orsini_laplace_nordic11.pdf



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