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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2013.11.27

2013年11月27日 担当:高橋彩紗

Maternal Obesity and Risk of Preterm Delivery
~ 妊婦の肥満と早産のリスクについて ~
出典: JAMA. 2013;309(22):2362-2370.
著者: Sven Cnattingius, MD, PhD; Eduardo Villamor, MD, DrPH; Stefan Johansson, MD, PhD; Anna-Karin Edstedt Bonamy, MD, PhD; Martina Persson, MD, PhD; Anna-Karin Wikstr?m, MD, PhD; Fredrik Granath, PhD
<論文の要約>
背景:
早産は乳児の死亡や疾病罹患、身体障害を起こしやすく、これらは在胎週数が短いほど起きやすい。肥満は早産のリスク因子であるが、過体重や肥満と早産の関係性は明らかでない。

目的:
妊娠早期の母体BMIと早産になるリスクの関係性について明らかにすること。

方法:
本研究は、1992年から2010年までにスウェーデンで単胎出産をした妊婦を対象としたコホート研究である。妊婦や妊娠に関するデータはThe Swedish Medical Birth Resisterより得た。 アウトカムは早産とし、Extremely; 極早産(22-27週)、Very; 超早産(28-31週)、Moderately; 中等度早産(32-36週)に分類して解析した。さらに早産が起きた原因により自然早産(切迫早産や前期破水などによる)と産科的適応による早産(分娩開始前・開始時の帝王切開)に分類し解析を行った。リスクの算出は、母親の年齢、出産歴、喫煙歴、教育歴、身長、出身国、分娩のあった西暦により調整した。

結果:
妊娠早期のBMIが分かった1,599,551出生中、3082は極早産、6893は超早産、67059は中等度早産であった。極早産、超早産、中等度早産のリスクは、BMIが大きくなるほど高くなる傾向があり、極早産で最も高リスクであった。母親が適正体重(BMI 18.5-<25)の場合、極早産の割合は0.17%であった。これに対し、各肥満度における極早産率およびオッズ比(OR)、95%信頼区間は以下の通りであった;BMI 25-<30(0.21%; OR, 1.26; 95%CI, 1.15-1.37)、BMI 30-<35(0.27%; OR, 1.58; 95%CI, 1.39-1.79)、BMI 35-<40(0.52%; OR, 2.99; 95%CI, 2.28-3.92)、BMI ≥40(0.52%; OR, 2.99; 95%CI, 2.28-3.92)。自然早産のリスクは、母親が肥満(BMI ≥30)の場合にBMIが大きいほど高かった。産科的早産のリスクは、母親が過体重または肥満の場合にBMIが大きいほど高かった。

結論:
スウェーデンにおいて妊娠中の過体重または肥満は早産リスクの増加と関連しており、特に極早産で強い関連性が示唆された。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■本研究は150万以上の大規模コホ-ト研究であり、このため肥満や早産を細分化した解析が可能となっている。
■妊娠週数の推定法に関して、エコ-法と最終月経法による違いについても解析しており、とても良かった。



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