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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2014.1.8

2014年1月8日 担当:杉田

Association of Nut Consumption with Total and Cause-Specific Mortality.
~ ナッツ摂取と全死因死亡率との関係 ~
文献: The New England Journal of Medicine. November 21, 2013. 2001-2011.
著者: Ying Bao, Jiali Han, Frank B. Hu, Edward L. Giovannucci, Meir J. Stampfer, Walter C. Willett, Charles S. Fuchs.
<論文の要約>
背景:
ナッツの摂取頻度が高いことは、主な慢性疾患(心血管疾患や2型糖尿病を含む)のリスクをさげることと関連がある。しかし、ナッツの摂取と死亡率との関連は明らかではない。

方法:
ナッツの摂取と二次的全死亡率、死因死亡率との関連を、the Nurse's Health Study(NHS)(1980-2010)より女性76,464名、the Health Professionals Follow-up Study(HPFS)(1986-2010)より男性42,498名を用いて検証した。参加者から、がん、心疾患、脳卒中の既往者は除いている。ナッツの摂取量は、ベースライン時と2-4年毎に評価している。

結果:
フォローアップは3,038,853人年で、女性16,200名、男性11,229名が死亡。ナッツの摂取は、知られているもしくは予期される危険因子で調整後において、女性、男性両方とも全死亡率と逆相関関係にあった。プールされた多変量ハザード比は、ナッツの摂取が週1回以下の摂取者で0.93(95% CI, 0.90-0.96)、週1回で0.89(0.86-0.93)、週2-4回で0.87(0.83-0.90)、週7回かそれ以上で0.80(0.73-0.86)(P<0.001 for trend)であった。ナッツの摂取とがん、心疾患、呼吸器疾患による死亡との間にも逆相関関係が見られた。

結論:
2つの大規模の独立したコホートで、死亡の他の予測因子に独立して、ナッツの摂取頻度が全死因死亡率と逆相関関係にあった。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■ナッツの摂取量を算出する際に、純粋な摂取量でなく、カテゴリー化されたものを累加平均することは本当の摂取量の平均になっているのか疑問である。

■ナッツの摂取量を累加平均してしまうと、いつの時点の摂取量がイベント発生に影響しているのかがわからなくなってしまうのではないか。例えばベースライン時と10年後の摂取量の違いがあった場合、アウトカムに近い摂取量がアウトカムに影響しているのかなど時点でのアウトカムに対する影響は見る事ができていない。しかし、少なくともナッツの摂取量がアウトカムに及ぼす影響を過大評価してはいない。

■ナッツの摂取方法によっても、健康に対して良い影響も悪い影響も出る可能性もあるため、調理方法も加味した研究デザインが必要かもしれない。ナッツの使用に地中海料理は本当にいいものなのか、どのような効果があるのかさらにレビューしておくと良いかもしれない。



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