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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2014.7.9

2014年7月9日 担当:Wei Zheng

Perinatal outcomes after bariatric surgery: nationwide population based matched cohort study
~ 肥満手術後の周産期アウトカム:全国の人口ベースでマッチしたコホート研究 ~
出典: BMJ 2013;347:f6460 (Published 12 November 2013)
著者: Nathalie Roos, Martin Neovius, Sven Cnattingius, Ylva Trolle Lagerros, Maria S??f, Fredrik Granath, Olof Stephansson.
<論文の要約>
目的:
肥満手術歴のない女性とある女性の周産期アウトカムを比較すること

デザイン:
人口ベースでマッチしたコホート研究

セッティング:
スウェーデンの国民健康サービス

参加者:
1992年から2009年の間にスウェーデンの医療出生登録データから特定された単胎児の1,742,702例の出産を対象とした。肥満手術歴がある母親からの出産(n=2562)と、母親の年齢、分娩歴、妊娠初期のBMI、妊娠初期の喫煙状況、教育歴と出産年をマッチさせた最大5つの出産をコントロールとして抽出した。二次コントロールコホートは、肥満手術の適応のある女性から抽出された、BMI以外の因子をマッチした女性とした(BMI≥35 或いはBMI≥40)。肥満手術歴は、1980年から2009年のスウェーデンの国立患者登録データより確認された。

メインアウトカム:
早産(<37週)、SGA児の出産、LGA児の出産、死産(?28週)、および新生児死亡(0-27日)

結果:
マッチしたコントロール群に比べて、肥満手術群の出産は早産がより頻繁だった(9.7% (243/2511) vs 6.1% (750/12 379)、オッズ比は1.7、95%信頼区間は1.4-2.0;p<0.001)。BMIは効果修飾因子(p=0.01)のようだった。早産のリスク増加はBMIが35より大きい女性にしか観察されなかった。肥満手術歴は自然早産(5.2%(130/2511)vs 3.6%(441/12 379)odds ratio 1.5, 1.2 to 1.9; P<0.001)と人工早産(4.5%(113/2511)vs 2.5%(309/12 379); odds ratio 1.8, 1.4 to 2.3; P<0.001)の両方のリスクの増加と関連していた。その上、肥満手術歴はSGA児の出産リスクの増加(5.2%(131/2507)vs 3.0%(369/12 338); odds ratio 2.0, 1.5 to 2.5; P<0.001)とLGA児の出産リスクの減少(4.2%(105/2507)vs 7.3%(895/12 338); odds ratio 0.6, 0.4 to 0.7; P<0.001)と関連していた。死産や新生児死亡については差が検出されなかった。肥満手術の適応のある女性をコントロール群にしても、手術を受けた女性の術後の早産とSGA児出産のリスクの増加及びLGA児出産のリスクの減少効果は残っていた。

結論:
肥満手術歴のある女性は、早産とSGA児出産のハイリスク群であるので、妊娠中のハイリスクグループとみなされるべきである。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■Design of the study was matched cohort study. However, comparing the perinatal outcomes of women with a history of bariatric surgery to those of the rest whole population might be more meaningful. Nevertheless, according to the supplementary figures, using matched cohort design, the risk was underestimated. Therefore, the design was acceptable.
この研究はマッチしたコホート研究であった。しかしながら、肥満手術歴のある女性を全人口の手術歴のない女性と比較することは、より意味のある結果を得るだろう。但し、補足の図によると、マッチしたコホートデザインでは、リスクは過小評価になった。そのため、このデザインは許容できた。

■Bariatric surgery may help the obese mother lose weight and become easier to get pregnant. However, this study did not have data on this aspect.
肥満手術によって、肥満女性は減量及び妊娠しやすくなることができるかもしれない。しかし、この研究はこの点に関するデータがなかった。

■Micronutrient deficiencies after bariatric surgery may affect fetal growth, further studies on this aspect can help to understand the mechanisms of the association between bariatric surgery and perinatal outcome.
肥満手術後の微量栄養素欠乏症は、胎児の成長に影響する可能性があり、この点についてのさらなる研究は、肥満手術と周産期の転帰と関連のメカニズムを解明することに役立つかもしれない。





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