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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2014.10.8

2014年10月8日 担当:元木・千葉

Sleep Duration and Survival Percentiles Across Categories of Physical Activity
~ 身体活動カテゴリー別の睡眠時間と生存パーセンタイルの検討 ~
出典: American Journal of Epidemiology 2014;179(4):484-491
著者: Andrea Bellavia, Torbj?rn ?kerstedt, Matteo Bottai, Alicja Wolk, and Nicola Orsini
<論文の要約>
背景:
睡眠時間と死亡との関連性はU字型であることが明らかとなっている。短い睡眠時間が負の効果をもたらすことは広く知られているが、長い睡眠時間の悪影響および基礎となる生物学的メカニズムについてはまだ分かっていない。本研究の目的は、スウェーデンの男性と女性の大規模な前向きコホートで、総身体活動のカテゴリー別に睡眠時間と死亡との関連性を調査することである。

方法:
・デザイン
前向きコホート
・セッティング
男性:Cohort of Swedish Men(1997-1998)の45~79歳の参加者48,850人
女性:スウェーデンマンモグラフィコホート(1987-1990)の参加者(対象者:1914~1948年に生まれた人)39,227人
・統計解析
①睡眠時間のカテゴリーに従ってハザード比と生存15パーセンタイルを推定
②総身体活動の三分位で睡眠時間の層別化を行ったカテゴリーに従ってハザード比と生存15パーセンタイルを推定
③同じく総身体活動三分位により、睡眠時間のカテゴリー別のハザード比をCVDとCancerで層化して推定
ハザード比の推定にはCox比例ハザードモデルを使用した生存パーセンタイルの差の検定には、Laplace回帰を用いた。
・主要アウトカム
生存に関するハザード比と生存の15パーセンタイル

結果:
70,973名の参加者(男性37,846名、女性33,127名)、年齢45歳から83歳の人口ベースコホートを15年間追跡し、14,575名の死亡(男性8,436名、女性6,139名)を記録した。長い睡眠時間(>8時間)は死亡のリスクの増加と関連しており(ハザード比=1.24;95%CL:1.11、1.39)、より低身体活動の者で短い生存期間であった(15パーセンタイルの差=-20ヵ月、95%CL:-30、-11)。長い睡眠時間は、低い身体活動レベルにおいてのみ死亡率の増加と短い生存に関連しており、長い睡眠時間と死亡との関連は、低い身体活動を伴う疾患によって部分的に説明されるであろう。

結論:
私たちは睡眠時間との関連が物理的なレベルによって異なることを明らかにした。短い睡眠時間は、身体活動のすべてのカテゴリーで、短い生存期間と死亡率の増加と関係していた。長い睡眠時間、低い身体活動のカテゴリーでのみ、短い生存期間と高い死亡率と関連していた。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■tabel3総身体活動量の三分位では、全部の対象者を散文位に分けているので、必然的にPA高値群には若者が集まり、PA低値群には高齢者が集まっている。年代別に三分位にわけなくてもよいのか。

■睡眠時間のカテゴリー分けについて、根拠が示されていない。

■調査時点以降の疾患発症や睡眠時間の変化、身体活動の変化についての影響はないか。

■睡眠時間カテゴリー別CVD患者におけるハザード比について考察がなされていない。有意差がなくても高いPoint estimateについてはDiscussionで述べるべきではないか。

■死亡はどのように調べたか。個人ナンバーがあり、研究対象者のナンバーを登録しておくと、死亡時にデータが送信されてくるのではないか?

■15パーセンタイル生存期間を調べたことにより、生存期間を何年と具体的に示すことができるため、社会一般に還元するときにわかりやすい。





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