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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

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2014年11月12日 担当:森

Discontinuation of Smokeless Tobacco and Mortality Risk After Myocardial Infarction
~ 無煙タバコの中断と心筋梗塞後の死亡リスク ~
出典: Circulation (2014 ; 130 : 325-332)
著者: Gabriel Arefalk, Kristina Hambraeus, Lars Lind, Karl Michaëlsson, Bertil Lindahl and Johan Sandstörm
<論文の要約>
背景:
かぎタバコ(snus)という湿り気のある無煙タバコを使う人々において、致命的な心筋梗塞のリスクの増加が示唆されたことから、心筋梗塞後にかぎタバコの使用をやめることは死亡リスクを低下させるという仮説をたてた。

方法と結果:
005年から2009年にスウェーデンにおいて心筋梗塞のためにCCUに入院した75歳未満のすべての患者を対象とし、退院後2ヶ月時に構造化した検査を実施した(本研究におけるベースライン)。心筋梗塞後にかぎタバコの使用をやめた群(n=675)と心筋梗塞後もかぎタバコの使用を続けた群(n=1799)における死亡リスクを、Cox比例ハザード解析を用いて比較した。追跡期間中(平均2.1年間)、83人の患者が死亡した。死亡率は、心筋梗塞後にかぎタバコをやめた群は1000リスク人年あたり9.7(95%信頼区間:5.7-16.3)で心筋梗塞後もかぎタバコの使用を続けた群は1000リスク人年あたり18.7(95%信頼区間:14.8-23.6)であった。年齢と性別を調整した後、心筋梗塞後にかぎタバコの使用をやめた群は心筋梗塞後もかぎタバコの使用を続けた群の半分の死亡リスクであった(ハザード比:0.51、95%信頼区間:0.29-0.91)。多変量調整モデルでのハザード比は0.57(95%信頼区間:0.32-1.02)であった。心筋梗塞後も喫煙を続けた群に対して、心筋梗塞後に禁煙した群の対応する推定値は0.54(95%信頼区間:0.42-0.69)であった。

結論:
本研究では、心筋梗塞後にかぎタバコの使用をやめることで禁煙と同様に死亡リスクがほぼ半減する。これらの観察結果から、心筋梗塞後にかぎタバコを使うことは奨励されないことが示唆された。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■コホート研究のお手本となるようないい論文で内容も興味深かった。

■かぎタバコについて詳細が分かるような論文であった。

■この論文では、ex-tobacco users(一時的にタバコをやめた人)による影響が明確に吟味されていない。

■このコホートは主にwhite Northern Europeanを対象としているため、今回の知見を世界的に還元できるか分からない。

■本研究のshared frailty model(共有異質性モデル)とは、対象が病院に不均一に集積していることを考慮してランダム効果の項をいれたものと考えられる





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