PAGE TOP

国立大学法人

山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2014.11.19

2014年11月19日 担当:岡安

Season of birth and other perinatal risk factors for melanoma
~ メラノーマに関する生まれた季節及びその他の周産期リスクファクター ~
出典: Int J Epidemiol 2014 43(3)793-801
著者: Casey Crump, Kristina Sundquist, Weiva Sieh, Marilyn A Winkleby and Jan Sundquinst
<論文の要約>
背景:
紫外線曝露は皮膚悪性黒色腫(CMM)の主なリスクファクターであるが、乳児期におけるその特異的な影響については明らかとなっていない。出生直後の数か月間における紫外線曝露の代替指標である生まれた季節と、小児期から成人早期におけるCMM発症が関連しているかどうかについて検証した。

方法:
生まれた季節とその他の周産期における関連因子を検証するため、CMM発症に関して1973年から2008年に実施されたスウェーデンで生まれた3,571,574人を対象とする国民コホート研究を2009年(最高齢37歳)まで追跡した。

結果:
追跡期間中に6,390万人-年中1,595人がCMMを発症した。発症のピークは春期の出生(3月-5月)であった。秋期出生に対するCMM発症に関するオッズ比は春期出生が1.21(95%信頼区間(CI)、1.05-1.39; p=0.008)、夏期出生が1.07(95%CI、0.92-1.24; p=0.40)、冬期出生が1.12(95%CI、0.96-1.29; p=0.14)であった。春期出生は表層拡散性CMMと関連が認められた(p=0.02)。その他には、兄弟姉妹(>6倍)や親(>3倍)のCMMの既往歴や、女性であること、胎児期の過成長そして、父親の学歴との間に関連が認められた。

結論:
この大規模コホート研究では、春期に生まれた人の幼児期から成人早期におけるCMMに対するリスクが高いことが明らかとなり、出生後数か月は紫外線への感受性の観点から重要な期間であることが示唆された。乳児期早期に日光を避けることは、ハイリスク群においてCMM予防に重要である。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■発症部位に関する記述がなく、紫外線曝露の影響の大きさが不明ではないか。

■生まれた季節だけでなく、対象者の外出頻度もその他関連因子に加えるべき。

■対象者が一部の人種に限られており、より多くの人種を対象とするさらなる検証が必要である。

■本研究対象者の最高年齢は37歳であるが、CMMの好発年齢が60歳以上であることから、さらに長期的な介入研究が必要である。





前のページに戻る