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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2015.2.4

2015年2月4日 担当:野田

Efficacy of Varenicline Combined With Nicotine Replacement Therapy vs Varenicline Alone for Smoking Cessation
A Randomized Clinical Trial
~ バレニクリン単独療法と、ニコチン置換療法とバレニクリンの併用療法の禁煙に対する効果の比較 無作為化臨床試験 ~
出典: JAMA. 2014;312(2):155-161. doi:10.1001/jama.2014.7195
著者: Coenraad F. N. Koegelenberg, MD, PhD; Firdows Noor, MD; Eric D. Bateman, MD, PhD; Richard N. van Zyl-Smit,MD, PhD; Axel Bruning, MD; John A. O'Brien, MD; Clifford Smith, MD; Mohamed S. Abdool-Gaffar, MD; Shaunagh Emanuel, MD; TonyaM. Esterhuizen, MSc; Elvis M. Irusen, MD, PhD
<論文の要約>
重要性:
行動療法および薬物治療は、喫煙者の禁煙を補助する効果があることは証明されている。しかし、禁煙を継続するためのニコチン置換療法(NRT)とバレニクリンの併用療法において、効果と安全性は明確ではない。

目的:
禁煙する際の、バレニクリン単独とバレニクリンとニコチンパッチの併用の有効性と安全性について評価すること。

研究デザイン、セッティング、参加者:
2011年4月から2012年10月の間に、南アフリカの7つの施設で、12週間の無作為化、盲検、プラセボコントロールの臨床試験と、それに引き続く12週間のフォローアップが行われた。446人のおおむね健康な喫煙者が1:1に無作為割付され、435人が有効性と安全性の解析に用いられた。

介入:
禁煙開始予定日の2週間前にニコチンまたはプラセボの治療を開始し、さらに12週間治療を続けた。バレニクリンは、禁煙開始予定日の1週間前に始めて、さらに12週間続け、13週目に漸減した。

主なアウトカムと測定:
禁煙は、禁煙開始予定日と24週目までの期間で排出された一酸化炭素の測定によって確認された。主要なエンドポイントは、治療の9週目から12週目の4週間で排出された一酸化炭素で確認される継続的な禁煙率とした。つまり、治療の最後の4週間で完全に禁煙を継続できている参加者の割合で、多重代入法を用いて評価した。副次エンドポイントとしては、6ヶ月時点での禁煙者の割合と、9週目から24週目の持続的な禁煙者の割合、そして、有害事象を含んだ。多重代入法は、追跡の欠損を処理するためにも使用された。

結果:
併用療法では、12週目(55.4% vs 40.9%; odds ratio [OR], 1.85; 95% CI, 1.19-2.89; P = .007)と24週目 (49.0% vs 32.6%; OR, 1.98; 95% CI, 1.25-3.14; P = .004)の持続的な禁煙率および6ヶ月時点(65.1% vs 46.7%; OR, 2.13; 95% CI, 1.32-3.43; P = .002)での禁煙率が高かった。併用群では、吐き気、睡眠障害、皮膚反応、便秘、抑うつ状態の発生率が高く、皮膚反応のみ、統計学的に有意であった。バレニクリン単独群では、異常な夢と頭痛が多かった。

結論と妥当性:
ニコチン置換療法とバレニクリンの併用療法は、バレニクリン単独療法と比べて、12週目と6ヶ月時点 の禁煙の達成に対して、より効果的であった。長期的な効果および安全性の評価のためにはさらなる研究が必要である。

<ジャーナルクラブでのディスカッション>
■ニコチン置換療法とバレニクリンの併用療法の有効性について検討しようとした理由、つまり、なぜどちらかだけではだめなのかという理由が明確に記されていないので、その点が記されていると良かった。

■禁煙は2年間の継続で成功とされているので、6ヶ月での評価は短いのではないか。

■アウトカムの測定で、差が出ない方にみなして計算している点と、サンプルサイズの推定について詳細に述べられている点が良かった。

■臨床での効能をみるためには、intention-to-treatによる解析結果をメインにした方が良いのではないか。

■説明変数ではなく、アウトカムに対して、多重代入法による補完を行うことは、説明変数により目的変数を多変量解析によって推定しているだけであり、あまり意味がないのではないか。


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