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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2016.3.2

2016年3月2日,9日    担当:広田、高橋

Cell Phone Intervention for You (CITY): A Randomized, Controlled Trial of Behavioral Weight Loss Intervention for Young Adults Using Mobile Technology
~ 携帯電話による介入(CITY):モバイルテクノロジー―を用いた、若年成人への行動に関する減量介入のランダム化比較試験 ~
出典: Obesity. 2015;11:2133-2141
著者: Laura P.Svetkey et al.
<論文の要約>
【目的】
若年成人における、2つのモバイルテクノロジー(mHealth)に基づく行動に関する体重減少についての介入効果を実証すること。

【方法】
18歳~35歳でBMI25kg/m2以上(過体重/肥満)の参加者を以下の3群に無作為割り付けした、無作為化による効果を比較するための試験。介入は24ヶ月間実施した。
①CP:携帯電話の双方向性スマートフォンアプリケーションによるmHealthによる介入を行った群
②PC:スマートフォンにおける自己モニタリングを用いながら個別指導を行った群
③コントロール群

【結果】
ベースラインの平均BMIが35kg/m2だった365人の参加者が無作為割り付けされた。最終的な体重は参加者の86%で測定された。コントロール群と比べた体重減少は、CPではどの時点においても有意ではなく、PCでは6ヶ月時点では有意差を認めたが(調整済みの効果 -1.92 kg [CI -3.17, -0.67],P=0.003)、12・24ヶ月時点では認めなかった。

【結論】
介入に対する継続率と研究に対しての追跡率が高く、どちらの介入でも行動的原則や道具が含まれ、全ての治療群で体重が減少したにも関わらず、コントロール群に比べてCPは体重減少に繋がらず、PCも体重減少が持続するわけではなかった。 mHealthによる解決法は広く普及し拡張性も高いものの、CITYの結果は携帯のアプリケーションを用いた介入に警鐘を鳴らしている。効果的な介入にはモバイルテクノロジーの効率化や、個別指導についての社会的なサポートや人の双方向性、そして介入方法に適応したアプローチを行う必要があるかもしれない。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>
    ■「mHealth」という概念についての説明が少なく、米国においてどの程度一般化されているのか不明であるため、それらの情報があるほうがよいと思う。
    ■対象者の居住地域が不明であり、どのような集団であるかを明記する必要があると思われる。
    ■研究に用いたアプリの情報の詳細が書かれていないため、Appendixなどに、アプリ情報の詳細を記載してほしい。
    ■過体重/肥満の基準値であるBMIについては、人種差を考慮して解釈することが必要である。
    ■図2の解釈で、単一の介入のみでは長期的な効果が見込めないことが考えられるのではないか。6ヶ月ごとに介入方法を変更した場合を検討する研究デザインも考えられる。
    ■体重コントロールや禁煙に対するアプローチにおいては、やはり個別指導が有効なのであろうか。サポート方法を工夫することで同等の有効性が得られるのであれば、介入に関わる人員やコスト削減に繋げることができるのではないか。


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