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山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2016.6.8

2016年6月8日    担当:Huang、小村

Weight change between successive pregnancies and risks of stillbirth and infant mortality: a nationwide cohort study
~ 連続した妊娠の間の体重変化と死産及び幼児死亡率のリスク:全国調査によるコホート研究 ~
出典: The Lancet 2016; 387: 558-65
著者: Sven Cnattingius, Eduardo Villamor
<論文の要約>
【背景】
妊婦の過体重と肥満は死産及び幼児期での死亡のリスクファクターである。妊婦の体重の一時的な変化がそれらのリスクに影響を与えるかは明らかではない。本研究は、第一子妊娠と第二子妊娠の間のBMIの変化が第二子の死産及び幼児死亡率のリスクに影響を与えるのかを評価することを目的とした。

【方法】
1992年1月1日から2012年12月31日までの間に第一子と第二子を出産した女性のスウェーデンの人口に基づいたコホートで、第一子妊娠と第二子妊娠時の妊娠初期での母体のBMI変化と、第二子の妊娠後の死産・新生児期の死亡・出生後の死亡・幼児期死亡のリスクとの関連を検討した。BMIの変化による各アウトカムの相対危険(RR)は二項分布回帰を用いて算出した。

【結果】
研究期間中に第一子と第二子の単体出産を経験した587,710人の女性のうち456,711人で欠損のない情報が得られた。二回の妊娠の間のBMIが安定していた女性(-1 kg/m2-1 kg/m2)と比べ、妊娠間のBMIが4 kg/m2以上増えた女性の調整後相対危険は、死産で1.55 (95%CI: 1.23-1.96)、幼児死亡率で1.29(95%CI: 1.00-1.67)であった。死産のリスクはBMIの増加に伴って直線的に上昇した。第二子の幼児死亡率は第一子妊娠時に健康的なBMIだった女性(25 kg/m2未満)においてのみ、BMIの増加に伴って上昇した。2 kg/m2以上4 kg/m2未満増加した健康的な体重の女性の相対危険は1.27(95%CI: 1.01-1.59)で、4 kg/m2以上増加した女性では1.60(95%CI: 1.16-2.22)であった。過体重の女性(BMIが25 kg/m2以上)においては、妊娠前に体重が減少することは生後4週までの死亡率を低下させていた。

【解釈】
この結果は、健康的な女性と過体重の女性が体重の増加を防ぐことと、過体重の女性が体重の減少を促すことの必要性を強調する。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>
    ■この研究のアウトカムは並列に4つある。多重比較について、検討したか。検討したならば、Methodsに記述して欲しい。
    ■第1回目の妊娠と第2回目の妊娠のintervalについての考慮がされていない。そのintervalの長短によって、2回目の出産時の母親の年齢は変わり、またどれくらいの期間でどれだけ太ったか、痩せたか、に関心はなかったのか。加えて知りたいところだった。
    ■4つのアウトカム、BMIが25未満か以上か別の、BMIの増減による児のリスクの方向が案外ばらばらである。それについての考察もない。この研究の一部の結果から公衆衛生学的なメッセージを取り出しにくいかもしれない。


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