2018年7月18日 担当:岡
Aerobic or Resistance Exercise, or Both, in Dieting Obese Older Adults
~ 肥満高齢者における有酸素運動と抵抗運動とその両方におけるダイエット ~
~ 肥満高齢者における有酸素運動と抵抗運動とその両方におけるダイエット ~
出典:
The NEW ENGLAND JORNAL of MEDICINE 2017 May 18;376(20):1943-55
著者: Dennis T.Villareal,M.D.,Lina Aguirre,M.D.,A.Burke Gurney,Ph.D.,P.T.,et al
著者: Dennis T.Villareal,M.D.,Lina Aguirre,M.D.,A.Burke Gurney,Ph.D.,P.T.,et al
- <論文の要約>
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【背景】
高齢者において肥満はフレイルを誘発する。しかしながら、体重減少は年令による筋肉量や骨量の減少を加速させ、結果としてサルコペニアやオステオペニアを誘発する。
【方法】
160名の肥満高齢者が関わるこの臨床研究において、私たちはフレイルの改善と体重減少による筋肉や骨密度減少の予防に対するいくつかのトレーニング方法の効果を評価した。参加者は体重管理プログラムに加え、3つのトレーニングプログラム(有酸素運動、レジスタンス運動、有酸素運動とレジスタンス運動)のうち一つを行う介入群とコントロール群(体重管理プログラムもトレーニングも無し)に無作為に割り当てられた。主要評価項目はベースラインから6ヶ月間の身体パフォーマンステストスコアの変化量である。(スコアの幅は0~36ポイントで高得点は良好な身体活動を示している。)副次評価項目は、他のフレイル評価尺度や身体組成、骨密度、身体機能の変化が含まれる。
【結果】
最終的に141名の参加者がこの研究を終えた。身体パフォーマンステストスコアの上昇は混合トレーニンググループが有酸素運動やレジスタンス運動の単独グループよりも高い値を示した。(27.9から33.4ポイント【21%上昇】vs 29.3から33.2ポイント【14%上昇】と28.8から32.7ポイント【14%上昇】;P=0.01とP=0.02ボンフェローニ補正後)スコアはすべてのトレーニンググレープにおいてコントロールグループに比べ高かった。(P<0.001グループ内の比較)最高酸素消費量(ml/kg/分)も混合グループと有酸素運動グループがレジスタンス運動に比べて高い値を示した。(17.2から20.3mg/kg/分【17%の上昇】と17.6から20.9mg/kg/分【18%の上昇】、抵抗グループは17.0から18.3mg/kg/分【8%の上昇】)強度においては、混合グループとレジスタンスグループは(288から337kg【19%上昇】と272から320kg【18%上昇】)有酸素グループ(265から270kg【4%上昇】)に比べて高い値を示した。(P<0.001両者の比較)全てのトレーニンググループにおいて9%の体重減少が見られたが、コントロールグループにおいては有意な変化はなかった。除脂肪量減少は混合グループとレジスタンス運動グループが有酸素運動グループによりも少なかった。(56.5から54.8kg【3%の減少】と58.1から57.1kg【2%の減少】vs55.0から52.3kg【5% の減少】)骨盤における骨密度として(1.010から0.996/黴3【1.1%の減少】と1.047から1.041/黴3【1%未満の減少】vs1.018から0.991/黴3【2.6%の減少】)トレーニングに関連した有害事象として筋骨格系の傷害が含まれた。
【結論】
我々の研究を通して、体重減少と、有酸素運動とレジスタンス運動の混合運動をあわせたものが、肥満高齢者の機能改善に最も効果的であった。
- <ジャーナルクラブでのディスカッション>
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各グループの医療的な理由による除外者は、プロトコールに沿って除外しているのか、もしくは本人の意思で中止したのかなど、除外理由の詳細な記載があると良かった。
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運動グループに対する介入として、体重管理プログラムでは週に1度は栄養士に会い、目標設定を実施し、毎日の食事記録をすること、運動トレーニングでは週に3回程度のレジスタンス運動や有酸素運動を実施するということを考えると、全体としてとても質の高い介入研究である。