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社会医学講座 | 山梨大学医学部

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ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2018.10.17

2018年10月17日    担当:田中

Advanced Maternal Age and the Risk of Low Birth Weight and Preterm Delivery: a Within-Family Analysis Using Finnish Population Registers
~ 高齢妊娠と低出生体重児、早産のリスク:フィンランドの人口登録を用いた家族内モデルの分析 ~
出典: American Journal of Epidemiology , 186(11):1219 1226, June 1, 2017
著者: Alice Goisis, Hanna Remes, Kieron Barclay, Pekka Martikainen, and Mikko Myrskylä
<論文の要約>
【目的】
高齢妊娠が低出生体重(2500g未満)と早産(37週未満)のリスクを独立して増加するかを明らかにすることを目的とし、between-family models (異なる母親から異なる年齢で出生した子ども)と、within-family models (同じ母親から異なる年齢で生まれた子ども)を比較した。

【セッティング】
フィンランドの人口登録と他の管理上の登録を使用した。

【対象者】
1987年から2000年に出生した124,098名の子ども

【主要アウトカム】
低出生体重児、早産

【結果】
between-family modelsでは母親の年齢25歳~29歳と比較すると、低出生体重児の出生リスクは35~39歳では1.1ポイント(95%CI 0.8,1.4)、40歳以上では2.2ポイント(95%CI 1.4,2.9)増加と関連していた。早産のリスクでも同様の関連がみられた。within-family modelsでは母親の年齢と低出生体重児、早産との関連は、実質的には統計学的にごくわずかであった。

【結論】
フィンランドでは、高齢妊娠の低出生体重児の出生と早産へのリスクは、少なくとも2人の出生があった母親で独立した関連はなかった。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>
    ■within-family modelについて統計分析方法の明確な記載がないため、今後追試していく過程においてより詳細な情報が必要ではないかと思われた。
    ■人口登録データを使用しているためか母親の特徴に関するデータが少ない。血液検査データなどの臨床データを含んだ他のデータベースを使用することができていたら、高齢妊娠と低出生体重児、早産の交絡要因が見つかったかもしれない。
    ■within-family modelによるアプローチを用いて、高齢妊娠と悪い出生アウトカムについてそのメカニズムに迫る追試をする必要があると述べているが、より具体的なメカニズムに関する仮説や方向性が示されると今後の研究で新しい知見が得られやすいかもしれない。


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