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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2020.5.20

2020年5月20日    担当:山崎

Social disconnectedness, perceived isolation, and symptoms of depression and anxiety among older Americans (NSHAP): a longitudinal mediation analysis
~ 高齢アメリカ人の社会的分離、孤立感、抑うつと不安の症状(NSHAP):縦断的媒介分析 ~
出典: Lancet Public Health 2020;5: e62–70
著者: Ziggi Ivan Santini, Paul E Jose, Erin York Cornwell, Ai Koyanagi, Line Nielsen, Carsten Hinrichsen, Charlotte Meilstrup, Katrine R Madsen, Vibeke Koushede
<論文の要約>
【Background】
社会的孤立と孤独は精神的不調を増加させることが示唆されている。しかし、孤立の様々な側面の特異的な寄与について調べた研究はほとんどない。本研究は、ベースラインで57-85歳の地域在住高齢者において、社会的分離(小さいソーシャルネットワーク、社会的交流の頻度が少ない)と孤立感(孤独感、認知されたサポートの欠如)が、不安と抑うつの重症度に寄与する経路を調べることを目的とした。

【Methods】
National Social Life, Health, and Aging Project(NSHAP)のデータを使用して縦断的媒介分析を実施した。研究には、1920年から1947年の間にUSで生まれた人々が含まれた。社会的分離、孤立感、抑うつと不安の症状については妥当性のある尺度を使用した。完全縦断的パスモデルを構築するために構造方程式モデリングを使用した。

【Findings】
57-85歳の3005人の成人データを使用した。うつ病の症状との有意な縦断的媒介パターンを2つ、不安症状との有意な縦断的媒介パターンを2つ同定した。最終的に、社会的分離は、それに続く孤立感の増加を予測した(β=0.09; p<0.0001)。孤立感の増加は、抑うつの症状(β=0.12;p<0.0001)と、不安の症状(β=0.12; p<0.0001)の増加も予測した。逆の経路も統計的に支持され、双方向の影響が示唆された。

【Interpretation】
イギリスの22地域から募集された263,540人(女性:106,674人(52%)、平均年齢52.6

【主要アウトカム】
一般的な高齢者において、ソーシャルネットワークの構造と機能は不安と抑うつの症状と強く結びついていた。社会的統合とコミュニティの活動への参加を促進する公衆衛生の取り組みによって、孤立感を減らす可能性があり、それによって情動的不調を予防できる可能性がある。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>
    ■構造方程式モデリングを使用したパズ図(Figure1,2)は仮説の検証が目的であったため、社会的分離と孤立感に強く関連する要因や、他の媒介因子が存在する可能性がある
    ■本研究の対象者は高齢者であるが、若年者の孤立は、高齢者の孤立と質的に異なる可能性があるので、結果を一般化するのは難しいのではないか
    ■Urban area と Rural area では人口密度、交通の便などが異なるため、地域で装荷すると結果が異なるのではないか


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