PAGE TOP

国立大学法人

山梨大学大学院総合研究部医学域 社会医学講座

社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
Division of Medicine, Graduate School Department of Interdisciplinary Research,
University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2021.9.22

2021年9月22日    担当:岡

Smoking, physical inactivity and obesity as predictors of healthy and disease-free life expectancy between ages 50 and 75: a multicohort study
出典: International Journal of Epidemiology, 2016, 1260–12.
著者: Sari Stenholm, Jenny Head, Mika Kivimaki, et al.
<論文の要約>
【背景】
喫煙、身体活動性の低下および肥満は慢性疾患や死亡に対しての変更可能な危険因子である。この研究の目的は、これらの危険因子関連の行動が同時に起こった場合、4つのヨーロッパのコホート研究における健康寿命をどの程度予測するかを調べることである。

【方法】
データは、イングランド、フィンランド、フランス、スウェーデンの4つのコホート研究から引き出された。危険因子は喫煙状況、身体不活動、肥満(体重指数≥30kg/m2)を調べた。健康寿命は、2つの健康指標を使用して推定された(1自己評価の健康2慢性疾患を有する。今回のモデルは、50歳から75歳までの健康寿命を推定するために使用された。

【結果】
50歳から75歳の少なくとも2つの危険因子を持つ男性と女性と比較して、持たない人は、平均して健康で8年長く、慢性疾患を発症しない期間を6年延ばすことが期待できる。

【結論】
ヨーロッパ4カ国のデータによると、喫煙、身体活動性の低下、肥満を持つ人は、健康寿命が短い。危険因子の人口レベルの低下は、健康寿命延伸の可能性がある。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>
    ■暴露としての健康に対する危険因子である喫煙、身体活動性の低下、肥満は今回の研究ではすべて同等の扱いとしカウントされていた。しかし、これら3の危険因子は組み合わせによっては健康寿命に対しての効果が違ってくるのではないか。
    ■身体活動の評価は各国コホート間で違うが、フィンランドのコホート研究であるFPSでは身体活動性の評価をメッツにするなど他コホートと比較して客観性が高いように思える。そのFPSでの研究結果は身体活動性の低下に対しての影響が他のリスク因子と比較して小さかった。FPS以外のコホート研究では、単一の健康に対する危険因子において身体活動性の低下が最も健康寿命への影響が大きかったことを考えると、身体活動性の低下が過大評価されている可能性があるのではないか。
    ■慢性疾患を呈していない期間の推定では、慢性疾患の種類までは考慮されていなかった。しかし、疾患の種類によって生活を含めた健康寿命や死亡への影響力に差があるのではないかと考えられる。
    ■この研究ではマイクロシュミレーションを使用して各コホート間に健康寿命の一貫した結果を推定することができた。マイクロシュミレーションなど、仮想的にシュミレーションし未来を推測するための手法は、今後の研究の幅を広げる一助になるのではないか。

--->

前のページに戻る