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社会医学講座 | 山梨大学医学部

Department of Health Sciences,Basic Science for Clinical Medicine,
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University of Yamanashi

ジャーナルクラブ通信バックナンバー

トップページ ジャーナルクラブ通信バックナンバー検索 2021.10.6

2021年10月6日    担当:吉井

Associations of specific types of sports and exercise with all-cause and cardiovascular-disease
mortality: a cohort study of 80 306 British adults
~ 特定の種類のスポーツや運動と全死因および心血管疾患因性の死亡率との関係:英国成人80,306人におけるコホートスタディ ~
出典: British Journal of Sports Medicine.2017;51:812-817
著者: Pekka Oja, Paul Kelly, Zeljko Pedisic, Sylvia Titze, Adrian Bauman,Charlie Foster, Mark Hamer, Melvyn Hillsdon, Emmanuel Stamatakis
<論文の要約>
【背景・目的】
特定のスポーツ種別の長期的な健康効果に関するエビデンスは十分ではない。そこで我々は、6つの異なるスポーツや運動と全死因および心血管疾患(CVD)因性の死亡リスクとの関係性を、スコットランドとイングランドにおける大規模な人口ベースのコホートを用いて検討した。

【方法】
コックス比例ハザード回帰を使用して、80,306人(女性54%、平均年齢52±14歳)の潜在的な交絡因子を調整し、それぞれの曝露と全死因およびCVD因性の死亡率との関係性を調査した。

【結果】
全死因の死亡率の有意な低下はサイクリング(HR=0.85、95%CI 0.76-0.95)、水泳(HR=0.72、95%CI 0.65-0.80)、ラケットスポーツ(HR=0.53、95%CI 0.40-0.69)、エアロビクス(HR=0.73、95%CI 0.63-0.85)の参加者で認められた。フットボールとランニング参加者においては有意な関係性は認められなかった。CVD因性の死亡率の有意な低下は水泳(HR=0.59、95%CI 0.46-0.75)、ラケットスポーツ(HR=0.44、95%CI 0.24-0.83)、エアロビクス(HR=0.64、95%CI 0.45-0.92)で見られたが、サイクリング、ランニング、フットボールでは見られなかった。曝露-アウトカム間の用量反応関係のパターンはスポーツ種別全体で認められた。

【結論】
これらの知見は、特定のスポーツへの参加は公衆衛生上有益となり得ることを示した。今後の調査においては、スポーツに特化した疫学的エビデンスをさらに強化し、参加習慣の長期的な変化を考慮すべきである。


<ジャーナルクラブでのディスカッション>
    ■複数のスポーツを行っている場合の解析の仕方は明記されていないが、メインを一つに絞ると過小評価に繋がる可能性があるため、それぞれで解析を行っていると考えられる。その際、主曝露以外を共変量「一週間の身体活動量」に含めて調整は行っている。
    ■ランニングは、より手軽に行えることに加え、その他の競技のためのトレーニングとしても行われている可能性が高く、ランニングの参加者が水泳よりはるかに少ないのは疑問が残る。そもそもランニングの定義がどのようなものかが不明瞭で、その調査の取り方によって先行研究と食い違いが生じている可能性もある。
    ■結果に対して、それぞれのスポーツの特性(例えば上肢を使う、社会性が強いなど)における考察はなされていない。また、経済面や収入等での調整は、本研究ではなされていないが、その後の同研究グループによる追加研究を確認したところ、経済面や収入等で調整された結果が出ていた。結果はそれらの影響はなかったとされていた。


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