我々の研究室では、アレルギー疾患(喘息、花粉症、食物アレルギーなど)の病態生理を様々な視点からより深いレベルで考察し、 アレルギー疾患の新しい予防や治療法を開発するためのカギとなる基礎的知見を発見することを主たる目標としています。

 アレルギーは主にIgEやマスト細胞によって起こることは最近では高校生でも知っています。このためアレルギーは非常によく理解されているように思われています。しかし、病気が形成、維持、増悪するメカニズムは未だに謎だらけの状態であり、対症療法でない根治的な予防・治療法はほとんどありません。
 実際、大学病院にはなかなか治せないアレルギー患者さんが山ほどいます。もっとも根本的な疑問であるアレルギー現象の生物学的な意義(生体としての目的)が何なのかさえよくわかっていません。 IgEがなぜ産生されるのか、について考えることは、日本や欧米諸国でアレルギー患者が急増している理由、特に人間と環境との関係性についてある種の洞察をきっと与えるはずです。

 現在、本研究室では、主にアレルギーと体の中で時間を刻む仕組み(体内時計)との関係について精力的に研究しています(J Allergy Clin Immunol 2011、2014、2016、J Immunol Res 2014、Allergy 2015、Sci Rep 2017)。この研究のゴールは、細胞の時間をコントロールすることによってアレルギーを良くすることです。このアプローチには薬物療法だけでなく、生活リズムや食事、ストレスなど日常生活のスタイルを改善させるだけでアレルギーを良く出来ないか、という“Beyond the Pill”の視点も含みます。特に難しいことはせず日常生活スタイルを少しだけ変えるだけで花粉症の症状が有意に軽減できたら素晴らしいことだと思いませんか?

 このような試みは世界の他のアレルギーの研究室ではほとんど行われていないオリジナリティーの高いものです。もちろん、
アレルギーを理解するための新しい視点を提供し、より良い治療につながる誰もやっていない研究であれば他のテーマも自由に設定しています。

 我々の研究室のスタンスは“新しい刺激的なアイデアを見つけ検証し、その結果として臨床にインパクトを与えアレルギーの診断や治療を少しでも前に進めること”です。基礎研究をする醍醐味は(稀で大変なことではありますが)1つの論文でこれまでの世界観を一挙に変えることが可能なことです。例えば、食物アレルギーによるアナフィラキシーショックを根治する方法は未だありませんが、もし誰かが見出せば社会に与える恩恵は計り知れません。
  そのような夢のゴールを決めることを目標に、花粉症や喘息、食物アレルギーなどに悩む人や興味がある人は、ぜひ僕らの常識を変えるような新しいアレルギー研究を生み出すことに参加してください。
                                    中尾篤人(平成29年1月1日)

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研究テーマ:
「Pushing the Edge of Allergy Research」