出生コホート研究センター概要

 子どもの健やかな心身の健康と発達を守るためには、胎児期からの追跡調査(コホート研究)による環境暴露の影響要因を明らかにすることが必須です。出生コホート研究センター(CBCS:Center for Birth Cohort Studies)は胎児期から学童期までを対象に、公衆衛生、疫学、統計学、教育学、社会心理学など多彩な学際的見地から子どもの心身の健康への影響要因を明らかにし、子どもの心身の健康増進を目指す研究組織です。出生コホート研究を専門とした調査・研究を実施する国内唯一の研究センターとして、平成23年1月1日に山梨大学大学院医学工学総合研究部に設置されました。

 当研究センターは、子どもの発育・発達を母親の妊娠届時から追跡調査し、評価することで今後の母子保健や予防医学への一助を目的としています。現在の出生コホート研究に関する業務は、環境省の事業として開始された「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」 において設置された全国15のユニットセンターの1つである甲信ユニットセンターの機能を、当出生コホート研究センターが全面的に担っています。このエコチル調査は、全国10万人の妊婦とその子ども及び夫の約30万人を13年間追跡調査する、わが国初の一大国家プロジェクトであり、大規模出生コホート研究と位置づけることができます。

 また、山梨県甲州市と山梨大学医学工学総合研究部社会医学講座が共同研究として25年以上継続した出生コホート研究を実施してきており、当出生コホート研究センターが業務の一部を担っています。この調査は、甲州市の母子保健、さらには学校保健の現状を把握し、よりよい母子保健行政を実施するための基礎資料の蓄積、また母子に留まらず人の一生涯の健康問題を明らかにし、より豊かで健やかな人生を送るための重要な縦断的資料として社会に貢献することを目的としています。

 子どもの健やかな心身の健康と発達の促進を目指した出生コホート研究により、社会貢献できる科学的根拠の創造、国際貢献、また疫学研究の社会的コンセンサスの醸成に対して、当出生コホート研究センターが担う大きな役割と機能が期待されます。

 
©Center for Birth Cohort Studies (CBCS),Interdisciplinary Graduate School of medicine,
University of Yamanashi