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大学院での経験は、視野が広がり人間としての幅も広がると思います

丸山 和美 さん

2011年 博士課程修了(人間環境医工学専攻)

山梨大学大学院 医学工学総合研究部 成育看護学講座 母性看護・助産学 助教

 私は、山梨医科大学医学部看護学科を卒業し助産師として働いた後に、看護学科助手として現在の仕事に就任しました。その後、山梨大学で看護学の修士課程を終えて人間環境医工学専攻(社会医学講座)で博士課程を修了しました。博士課程は、助産師として母子保健に関する疫学を学びたかったため、継続した母子保健調査から、妊婦、乳幼児の健康状態、育児など多くの貴重な資料を提供している社会医学講座を選択しました。

 博士課程の人間環境医工学専攻では、医学、工学の教育に加え、倫理学・哲学、心理学等の人文・社会科学領域の教育も行っています。臨床や教育経験を得たのちに受けた倫理学、環境学、地域保健学などの講義は、新たな視点から問題を考えることができ視野を広げるきっかけとなりました。また、社会医学講座では、医学・教育学・薬学・看護学・栄養学など、様々な専門性を持つ学生が在籍しているため、刺激を受けることも多く学びの幅が広がります。カンファレンスで発表し、複数の先生方や看護領域に加え他領域の学生達から助言や意見をいただくことで、一つの見方だけではなく様々な角度から物事を考えることができました。さらに、毎朝行われている統計関連の本を読む輪読会では、統計についての学習を深めることができました。週1回のジャーナルクラブでは疫学論文のCritical Reviewを行なっているため、論文を批評して読むという力が以前よりもついたと思います。山縣教授をはじめ社会医学講座の先生方はとても温かく、研究指導のみならず精神面へのフォローもしてくださり、くじけそうになる心を支えてくださいました。また、バーベキューや忘年会などのイベントを通じて先生方や学生どうしとの交流も深まり、アットホームな雰囲気の中で勉強をすることができたと思います。

 近年、生殖年齢にある女性の痩せと痩せ願望が問題視されています。臨床の場で妊婦の方々と関わる中で、そのような傾向は妊婦にも影響を及ぼしていると感じました。そこで博士課程では、妊娠による身体的・心理的変化がボディイメージにどう影響するかということを調査しました。その結果、妊娠に特異的な身体的・心理的変化により、内在するボディイメージとの間に葛藤を生じることが明らかとなり、その葛藤は、理想との乖離が大きいほど強まり、産後うつにも関連していることが分かりました。この研究結果は、ボディイメージが形成される思春期前の女子や若年女性、妊婦に対する看護に活かしていきたいと考えています。また、臨床の場で感じた疑問や問題を研究を通じて明らかにし、学術的に社会に伝えていくことで、看護の質の向上にわずかながらでも貢献したいと考えています。修士・博士課程とご指導を頂いた大山教授からは、研究に関する直接的なご指導のみならず、研究者としての姿勢や教育者としての在り方についても学ばせていただきました。また、社会医学講座での多くの先生方や職種が異なる学生の方々との出会いから、様々な対場での考え方や生き方について知り、自分が助産師として研究者として、看護にどのように貢献できるかをさらに考える機会となりました。

 学部の卒業生で進学を考えているみなさんは、研究室や指導教授の選択にあたっては、教室や教員をよく知っている卒業生であるからこそ、より自分にあった選択ができると思います。同じ学び舎で継続して学習や研究ができるという点では、母校であるからこそのメリットは大きいです。他大学を卒業されたみなさんは、ぜひ山梨大学大学院の説明会に参加し、山梨大学の自由な教育・研究環境を知って頂きたいと思います。大学院は、単に研究をして論文を完成させるというだけではなく、視野が広がり人間としての幅も広がると思います。


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