私たちの研究室では、生活習慣病の代表的な疾患である高脂血症、動脈硬化、肥満、糖尿病の分子病態の解明と治療法の開発を行なっています。
主たる研究手法としては
- 病理解剖や手術で得られたヒト検体を用いた研究
- 培養細胞や分子生物学的な技術を用いた解析
動脈硬化の病巣を形成する主要な細胞(内皮細胞、平滑筋細胞、マクロファージなど)の初代培養系や株化培養系を用いて、プラーク形成及び破裂のメカニズムを研究しています。また、メカニズムの解明には分子生物学的手法が不可欠で、遺伝子クローニング、qRT-PCR、ウエスタンブロットなどの方法により、様々な方向から研究を進めています。
- 動物を用いた基礎医学研究
脂質代謝異常や動脈硬化、肥満、糖尿病、大動脈瘤、アルツハイマー病などの疾患メカニズムの解明を目的として、世界でも大変珍しい遺伝子改変ウサギ(トランスジェニック及びノックアウト)モデルの開発と、それを用いた研究を行っています。ウサギは、マウスやラットに比べ特に脂質代謝の面でヒトに近い特徴があり、また動脈硬化も起こりやすくマウスやラットでは存在しない心筋梗塞の自然発症モデルもウサギでのみ開発に成功しています。そのため、最近特に注目を集めているメタボリックシンドローム(心筋梗塞や脳梗塞の主因とされる、内臓肥満を基盤とした新たな病態概念)の研究にも大変有用であると考えられています。具体的には、以下に示す酵素や蛋白を導入したウサギモデルによる実験を行っています。
MMP-12 ・動脈硬化、動脈瘤、関節炎、肺気腫など |
apo(a) ・動脈硬化、心筋梗塞、病変の石灰化など |
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VEGF ・血管種、糸球体腎炎など |
LPL ・高脂血症、動脈硬化、肥満、糖尿病など |
- トランスレーショナルリサーチ
上記(動物を用いた基礎医学研究)において確立された有用な疾患ウサギモデルを用いて、臨床応用を目的とした新規薬剤、治療機器、治療法の開発という、いわゆる、トランスレーショナルリサーチを行っています。