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患者さんと信頼関係が築ける医師となるために学生時代は多くの人と付きあい、影響しあってほしい

荒木 拓次さん

1991年 医学科卒業

山梨大学医学部附属病院 放射線科准 教授

放射線科というのは、CTやMRI、血管造影などの画像診断や放射線による治療を行う科で、私は血管造影と血管内治療を専門としています。

実は医学部は再入学で、その前は他の大学で化学を専攻していました。公害について研究していたのですが、その研究がいずれ役に立つだろうと思っても、最終的な結果が見えない。それならすぐに人の役にたてる仕事のほうがいいと、医学部に再入学しました。

学生時代を振り返った時、勉強にはいくつかのポイントがあると思います。まずひとつは医者は科学的なものと経験学的なものの両方が必要だということです。医学はサイエンスですから、科学的に論理的に考えることはもちろん必要ですが、その一方で理由はよくわからないけど、これをすれば治るという経験学的なこともたくさんあります。例えば今倒れている患者さんに対して、すぐに何をしなければいけないかという時、いちいち理屈だって頭で考えているひまはありません。ちょっと面白くなくても、必要なことは暗記して、目の前で起こっている状況にすぐに対応できるようになっていくことが必要だと思います。次に、失敗したら、その原因がなんであるかを冷めた目で見つめ、同じ失敗を繰り返さないように、より良い方向を考えていくことです。

医者は患者さんのためにあり、常に誠意を尽くすことは当然ですが、失敗したから二度とそれをやらないというのでは、きっとパターン化した治療しかできなくなる。それでは医者としてのキャリアになっていきません。また、医者は患者さんとの信頼関係を築くことが必要です。信頼関係があれば、苦しい時も頑張ってくれる。こうしたことも経験ですから、学生時代、いろいろな人と付き合い、影響しあっていくことも大切だと思います。

(執筆時 2008年)


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