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その道に入らんと思ふ心こそ

近藤 哲夫

人体病理学講座 准教授 (2014年12月)

現:人体病理学講座 教授

 大学院生から准教授の現在に至るまで甲状腺癌の発生メカニズムや機能形態学について研究をしています。分子のレベルから新たな発見を目指して日々研究室の中で頑張っております。研究とは実験を繰り返し、論文を執筆するという孤独な作業です。なぜそんな研究をずっと続けているのかと問われると、なかなか上手くは説明できませんが、学生時代に茶道部での稽古の度に暗誦していた利休道歌の最初の一首が自分には当てはまるように思います。その道に入らんと思ふ心こそ 我が身ながらの師匠なりけれ。これは千利休の教えを和歌の形にしたもので、茶道に対する心構えを表しています。茶道と研究ではまるで分野が違いますが、この歌が教えるように自分の中にある甲状腺癌に対する好奇心(楽しい!)と探究心(もっと知りたい!)がこの道(研究)を続けるモチベーション(心の師匠)になっているのだと思います。そしてこの好奇心と探究心はヒトが備える本能なのでしょう。いつまでも子どもがおもちゃに飽きないように、私も未だに研究に飽きないのです。
 研究に孤独な作業が多いのは確かですが、共同作業や仲間との議論から成立する部分もあります。そして良き指導者、良き仲間との出会いがあったこともこれまで研究を続けてきた大きな理由です。私は医学部卒業後に内科医として市中の病院で勤務していたのですが、縁あって大学院に進学し病理学を専攻したなかで川生明名誉教授、加藤良平教授の両先生に熱意のある指導を受け、基礎研究としての病理学、臨床医学としての病理診断学にすっかり魅了されてしまいました。お二人との出会いが無ければおそらくいまでも臨床医として働いていたと思います。幸甚にも大学院終了後にはトロント大学への研究留学の機会が与えられ、内分泌病理学のエイサ教授、内分泌腫瘍学のエザット教授に研究を師事する機会を得たことも大きな転換となりました。現在進行中の研究プロジェクトはこのトロントでの研究成果を基盤にして発展させてきたものです。
 研究者としてこれから叶えていきたい夢はいくつもあります。まず自分が最も興味をもっている甲状腺癌の研究をさらに発展させ、その研究成果によって診断や治療に大きく貢献できること。そして同じく研究を志す後輩達にとって良き手本となれるように指導者としても成長していきたいと思っています。 守り尽くして破るとも 離るるとても本を忘るな。これは利休道歌の最後の一首です。詳しい説明は割愛しますが、修行がある程度すすんだときの教えです。研究者としての精進を続ける今の自分にとってはまさにぴったりな戒めと感じます。
 (ピピピピピ)さて、タイマーが鳴りましたので、このあたりで実験室に戻らなければなりません。駄文をお読み頂きありがとうございました。いつの日か皆様と研究室でお会いし、私が夢を叶えたかどうかの証人なっていただく時が来ることを願っています。

私とエザット教授(トロント留学時)。論文なくして研究費なしと教わりました。


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