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看護研究って何だろう‼

山田 章子

基礎・臨床看護学講座 講師 (2018年1月)

 皆さんは、研究というとどんなことを思い浮かべるでしょうか?医療の研究だと病気になる細胞を見つけたり、病気を治す方法をみつけたりといったところでしょうか。看護の研究を思い浮かべた人はほとんどいないのではないでしょうか。看護の研究は、対象者にとって意義のあるもの、看護の力を最大限に引き出すためにはどうしたらよいか、まだよくわかっていない看護学の疑問を詳しく調べ、深く探求して明らかにすることなのです。その中でも私は、重症な病気やケガ、何時間もかかるような手術によって、呼吸や循環などの身体機能に重大な障害をもたらされ、生命の危機に陥っている患者さんのことを研究しています。

このような重症な患者さんが身体的にも精神的にも苦痛が少なく回復に向かえるよう、看護としてどんなことができるかを考えて研究を行っています。特に集中治療室(intensive care unit : ICU)に入らなければならない患者さんは、気管挿管(口から気管に管を挿入する)をすることがよくあります。このような患者さんは、声を出すことができず、ご自身の思いやして欲しいことを医療者に伝えることが難しいです。ご自身の意思が伝わらないと、せん妄を発症することがあります。せん妄とは、意識がはっきりせず、興奮して暴れたり大声を出したり、幻視・幻聴、妄想等の症状が現れることです。これは、認知症とは違い、ずっと続くわけではなく、一過性に出現する症状です。このような症状が出現すると、治療やケアを効果的に行うことが難しくなるため、せん妄を発症させないようにするためには、看護として何かできることはないかと考えました。ICUに入室している患者のせん妄発症の要因には、意思を伝えることができないだけではなく、痛み、痛みを和らげるために使用する薬、環境の変化、年齢など様々あります。自身が研究した中で、せん妄発症には痛みが関連していることが明らかとなり、患者さんが感じる痛みを的確に把握し、適切な看護ケアを行うことでせん妄発症を予防できるのではないかと考え、現在は『痛み』に注目して研究を行っています。声を出すことができない、意思を自由に伝えられない患者さんの痛みは、言葉だけではなく、仕草や患者さんの行動から的確に知ることができれば、患者さんの痛みを減らすことができます。したがって私は、医療者の誰もが声の出せない患者さんの痛みを発見する観察ポイントの指標を開発しています。そして患者さんが、治療やケアをスムースに進めることができるよう、早期に痛みに対する適切な看護を行い、少しでも苦痛を減らして、入院生活が快適に送れるようにすることが私の研究の目標です。

 この研究のテーマは、臨床で看護師として働いているときに、感じたこと、疑問に思っていたことがきっかけとなっています。毎日行うことだから、指示にあるからと、何も考えずに看護を行っていても、よい看護は提供できないと思います。日々、なぜかな?どうしてなのかな?と考え、一つ一つ丁寧に答えを見つけていくことで、よりよい看護が提供できるのではないかと考えています。そのためには、看護研究を行っていく必要があります。そして、研究は一人ではできません。研究に協力してくださった患者さん、医療スタッフの皆さんがいるからこそ、成り立ちます。そして研究を支えてくださった先生方、多くの仲間にも支えられてきました。これからも多くの方に協力していただきながら、患者さんが1日も早く回復して社会復帰できるよう、看護の視点から研究を進めていきたいと考えています。

 

国際学会にて(左が筆者)

 

研究の授賞式にて(左から2番目が筆者)


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