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ライフサイクルに応じた医療と認知神経科学に基づく学際的な研究をめざして

相原 正男

健康・生活支援看護学講座 (2013年7月)

 私は小児科学の教育と臨床を千葉大学医学部小児科において10年間経験した後、山梨医科大学小児科で23年間小児神経専門医(対象疾患は、重症心身障害、脳性麻痺、てんかん、発達障害等)として、医学だけでは解決できない当事者と両親のニーズ、成人期にまで及ぶ心身の健康管理と自立支援の必要性を痛感し、以下のことを実践してきました。

1)社会活動
a)地域社会への支援
 私は山梨小児神経懇話会を平成元年より医師、看護師、保健師の卒後研修の場として運営してきております。異なる立場の専門家技術者間の実質的なコーディネーションを確立する目的で、多種職者(医師、看護師、保健師、PT・OT・ST・PsT・SW等のリハビリテーション関係者、教師、県・市町村行政スタッフ等)を対象に、障害児者に対する保健福祉支援システムのあり方や地域で生活する障害児者への支援をテーマとして相互理解を図ってきました。
b)公的事業との関わり
 平成17年から山梨県発達障害者支援体制整備事業検討委員会の委員長として、発達障害支援センターの運営方針、圏域支援体制整備事業の実施検証等を行い「山梨県発達障害者支援体制整備指針」を平成20年に公布しました。現在も個別支援から地域支援を目標に各市町村をモデル地域に指定して対象者のライフサイクルの応じた多種職連携を図ってきております。
 このような社会活動から得た人的社会資源が、私の最も重要な臨床、教育、研究基盤であり、これらのフィールドから医療・保健・福祉・就労に関わる教育や研究を実施してきております。
2)教育活動
 このような活動を通して、「人的社会資源の育成」が私の教育理念となってきました。すでに、県下高校生に対し医学の魅力を紹介し、医学・看護・理学療法・作業療法・社会福祉・心理学科学部生および大学院生の講義を担当しています。とくに、地域医療では、社会的不利益のない生活が障害のある住民にも地域で保障されなければならないため、広い視野を持った医療人の育成が重要と考えております。広い視野とは、地域における多職種の役割を知り職種間の連携をマネージメントできる能力であり、さらに小児から高齢者までトータルライフで人を見据えた洞察力であると思います。このような医療人が20名巣立ってきており、県下の主な病院や医療福祉施設で活躍しております。
3)研究活動
 このような経験から、社会適応(adjustment)に必要な脳機能を解明するため、ヒトの前頭葉(社会脳:social brain)の成長・成熟・発達過程とその障害を神経心理学(前頭葉機能検査の開発)、神経生理学(事象関連電位、脳周波数解析、情動性自立反応)、神経放射線学的(SPECT、NIRS)視点より研究を続けてきました。研究の対象はてんかんや発達障害などの高次脳機能障害児者であり、期待される研究成果は社会的適応障害の予防と対策に関する臨床医学的診断、治療に新たな手がかりを与えることです。すでに医学博士を12名輩出し、数名の研究指導が進行中です。毎年、英文論文が5-10編、学会発表が50-60本、健診や研修会講師をはじめとした地域療育活動が年100回を超えております。このような臨床、教育、研究、社会活動が認められThe Best Doctors in Japanに2011-2012年、2012-2013年に推薦されました。
 これらの経験から私が学んだ教育と研究目標は、フィールドから抽出された臨床研究を通じて明らかにされた新しい健康指標を地域の医療に導入し還元すること、さらに先端医学に精通し新しい健康情報の意義と活用法に熟知した医師、看護師、保健師、リハビリテーション関係者、教師が地域、教育現場で活躍することです。この理念を持って医学および医療の発展に寄与していきたいと考えています。


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