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夏季リトリート報告書

濱田 健太郎さん

医学部医学科 2017年入学

2019年8月17-18日 東京大学医学部教育研究棟

 この度、東京大学で開催された東日本研究医養成コンソーシアム第10回夏のリトリートに参加をした。他大学の研究をしている医学部生と意見交換が出来、大変刺激的であった。

以下に発表内容の抄録を示す。

緑内障は本邦では失明原因第1位の眼疾患であり、視神経障害及び網膜神経節細胞(RGC)の脱落を特徴とする。本疾患には複数の病因が関連しているが、最大の危険因子は眼圧上昇であり、従って眼圧下降薬による治療が第一選択である。しかし、既存の薬剤に抵抗性を示したり、副作用を呈する患者も多く、新たな分子標的探索が急務となっている。本発表ではP2Y₁受容体が眼圧を抑制性に制御しており、その異常が緑内障様症状を引き起こすことを報告する。薬理学的解析により、P2Y₁受容体作動薬の点眼がマウスの眼圧低下を引き起こすこと、これはP2Y₁欠損(KO)マウスでは認められないことを見いだした。また、P2Y₁KOマウスの眼圧は、野生型のそれに比べて高く、P2Y₁受容体の恒常的な活性化が正常な眼圧維持に関係している可能性が示唆された。若齢(3カ月齢)P2Y₁KOマウスは既に高眼圧であるにも関わらずRGCの脱落は認められなかった。しかし中年齢(12カ月齢)P2Y₁KOマウスは、野生型に比べて有意に大きいRGCの脱落を認めた。中年齢P2Y1KOマウスでは、RGCのアポトーシスや網膜神経線維層の菲薄化などの所見も認められた。以上、P2Y₁受容体は(1)眼圧を抑制性に制御していること、その欠損により (2) 恒常的な眼圧上昇及び、(3)加齢依存的な緑内障様症状を引き起こすこと、が明らかとなった。


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