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第36回日本生物学的精神医学会 第57回日本神経化学会大会 第7回神経化学の若手研究者育成セミナー

田畑 光一さん

医学部医学科 2010年入学

2014年9月29日-10月1日 奈良県文化会館、奈良県新公会堂

【発表の要旨】
「精神疾患脆弱性に関わるカナビノイド2型受容体機能とストレストリガーの解析」という演題で口演発表させて頂きました。カナビノイドは大麻草に含まれる成分の総称であり、感情や認知機能などの精神機能において重要な役割を果たします。中でもカナビノイド2型受容体(CB2受容体)は従来免疫系に関与すると考えられてきましたが、最近脳全体に分布することがわかりました。さらにヒトにおける関連解析では、これをコードするCNR2遺伝子のR63Q多型がうつ病、統合失調症、アルコール依存症の発症脆弱性に関わることが示唆されています。本研究ではCnr2ノックアウトマウス、CB2受容体インバースアゴニストを投与したB6マウスに対して様々なストレス(覚醒剤、Poly I:C、軽度慢性ストレス)を負荷したところ、行動解析(PPI試験、行動量測定、Zero-maze試験、強制水泳試験)、Real-time PCR解析(脳内のストレスや免疫関連遺伝子の発現変化の測定)において、これらがCB2受容体機能低下を体質要因とした発症トリガー(環境因子)になりうることを見出しました。
【学会発表を通じて】
この度、口演発表はもちろんのこと学会参加までも初めての経験であり、敷居は非常に高いものでした。それでも最後までやり抜くことができたのは、先生方の丁寧なご指導と、ずっと抱いていた精神医学に対する興味があったからだと思います。一つ目に、発表する原稿は何度も先生に指導して頂き、自分の研究をいかに解りやすく纏めていけばいいか学ぶことができました。たった10分間の発表の中に研究内容を詰め込むのは容易ではありませんでしたが、その過程で、実験をしている最中には見えなかった実験の本質が掴めたり、次の実験の新しいアイデアが生まれたりするのは思わぬ発見でした。これらが非常に楽しかったので、気がつけば発表に対する不安や緊張は薄れていったように思います。二つ目に、自分の研究を精神医学分野で活躍されている先生方に聞いてもらえて、なおかつ質問やコメントを頂けることは非常に幸せなことだと思いました。今まで講演会や日本精神神経学会サマースクールに参加して精神医学に対する興味を深めてきたので、日本にはどんな研究者がいて、それぞれどのような研究が展開されているのか、非常に興味があるところでした。実際、先生方からは様々な視点から質問をして頂いたので精神医学の奥深さ、難しさを再認することができ、非常に良い刺激になりました。満足のいく発表ができたと言い切れるわけではありませんが、やはり興味がある分野であれば何事もプラスに捉え、吸収できると思いました。
【セミナー参加を通じて】
日中の学会発表とは別に、夜は2日間日本神経化学会の開催する若手(学部学生、大学院生、研修医)向けのセミナーに参加させて頂きました。今回の学会が日本生物学的精神医学会と日本神経化学会の合同開催であることにも意義があり、精神疾患における精神症状、脳画像・神経生理学的所見ならびに分子メカニズムの統合的な理解と、これに基づく新規治療法開発に貢献する意図が込められています。セミナーでは「精神疾患の病態に迫る」というタイトルで精神科医の立場と精神科医ではない立場から活発なディスカッションがなされ、主に医学部以外の研究者の方々と交流を持つことができました。これは正に今後の精神医学研究の基礎と臨床の間の“死の谷”を埋めるために大切なことであり、薬学や神経化学、医工学分野で研究されている方々のお話は大変興味深かったです。ご高名な講師、チューターの方々もお酒を交えて気軽に私たちの相談に乗って下さり、将来は医師という立場からこれら基礎と臨床の架橋となるような研究をしたい、と強く思いました。
【今後の抱負】
学会、セミナーに参加して最も感じたことは、日本は広いということです。自分が何となく思い描いていた研究が目の前のポスター発表に出てきたり、論文や書籍で知識があった領域の研究がさらに広がっていたり、はたまた全く思いがけない研究に出会ったりと、やはり視野は広く持たなければならないと感じました。この感覚を肌で実感できるのは学会の醍醐味だと思います。日本が広ければ世界はもっと広いわけで、今後はより一層大きく研究を展開していけるよう邁進したいと思います。最後になりますが、口演発表という貴重な経験をさせて下さった石黒浩毅先生、本橋伸高教授、精神神経医学講座の先生、スタッフの方々、リエゾンアカデミーの先生方にこの場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。


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