この度私は、アメリカにて行われたISMRMにてBayesian prediction for insufficient liver enhancement in gadoxetic acid-enhanced hepatobiliary phase imagingという題目で、口頭発表を行いました。英語による口頭発表は2度目でしたが、国際学会での発表は今回が初めてだったため、日本の学会とのスケールの違いを実感しました。
学会は朝7時から始まり、Educational Sessionが多分野にわたって行われていたため、学生の私でもSessionを大いに楽しむことができました。学会全体のSessionに関しては、頭部、胸部、腹部、骨盤部などの部位別症例MRIのSession、PET-MRI、functional MRI、MR elastography、磁化率マッピングなどの手法別のSession、生物学統計や研究デザインに関するSession、deep learningやベイズ理論などの機械学習を応用したMRIに関するSessionなどさまざまで、7日間を持て余すことなく充実した日々を送ることができました。
発表は4月25日(火)のMorning Scientific Sessionの中のBody部門で、10人の発表者がいました。私は7番目に発表させて頂き、Wisconsin大学やUCSDなどMRIの研究において世界をリードしている研究機関の研究者と同じ舞台で発表できたことをとても幸せに感じました。Wisconsin大学の教授で今回のISMRMのプログラム責任者であるScott ReederやUCSDの教授であるClaud Sirlinらエキスパートからも発表に対する質問を頂き、今後研究をまとめていく上で重要な論点についてdiscussionすることができ、とても有意義な質疑応答となりました。
機械学習を用いた診断は、世界的にも非常にホットなトピックで、今回私が用いたベイズ理論や、他にもサポートベクターマシンやニューラルネットワークなど、今後も多くの臨床研究において活躍が見込まれます。医学部のカリキュラムにおいてこのような機会学習やプログラミングなどに触れる機会はほぼ皆無でしたが、自らこのような分野に触れることで視野が広がり、融合研究の重要性について考える良い機会となりました。3年前にdouble majorの概念について意識し始め、異分野である、統計学と機械学習を中心とする数理的研究に飛び込み、医学生物学研究への応用可能性について考える研究を始めました。今回の研究でベイズ理論を臨床診断学に応用することが可能となり、融合研究のよい先駆けになったのではないかと思います。
また、今回の学会参加を通じて、医学以外の分野の研究者との交流を深めながら他分野の研究にも触れる多くの機会を得ることができました。今回の学会では、4D flow MRIの研究を行っているWisconsin大学のtraineeの方々と学会会場やそれ以外の場でもdiscussionをすることができ、お互いの研究について多くを語ることができました。今後、融合研究を行っていくうえで、MDの研究者のみならずPhDの研究者とも協力して研究していくことで、臨床のニーズを活かした新しい手法に近づくことができるのではないかと期待しております。
学会の合間にハワイを観光することもでき、ハワイの文化や自然を堪能することができました。Polynesian culture centerでハワイの伝統文化やハワイのそれぞれの島の雰囲気を体験したり、Makapuu岬にてハイキングを楽しんだり、きれいなビーチを歩いたりしながら、親しみやすい人々に囲まれてとても過ごしやすかったです。
最後になりますが、今回の国際学会口頭発表を通して多くの教訓を得ることができました。今回の経験を糧に、今後さらに飛躍できるよう自己研鑽に励みたいと思います。本研究においてご指導いただいた本学放射線医学講座の皆様、研究活動を行う上で支えてくださった家族や友人、特進コースの皆様にこの場をお借りしてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。今後ともご指導よろしくお願い致します。