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第2回サイエンス・インカレ

城野 悠志さん

医学部医学科 2009年入学 

2013年3月2-3日 幕張メッセ

発表の要旨

 このたび私は、「ストレスが導く細胞の“リプログラミング”」というタイトルで、2日間にわたり口頭発表を行いました。
 その要旨は、腎臓や肝臓の炎症条件下において、適度な小胞体ストレス応答を誘導することで、脱分化した病的細胞の増殖が抑制され、健全な分化細胞へと再分化(“リプログラミング”)することができた、というものです。

 

発表までの曲折

 私がサイエンス・インカレの存在を知ったのは、昨年の冬です。第1回大会の応募には間に合わず、東京の日本科学未来館まで一人で見学に行きました。 
 会場では熱気あふれる大会の雰囲気を肌で感じ、大学生の研究発表の場としてこれほど魅力的なイベントができたのかと感動しました。来年こそはサイエンス・インカレで発表したい!その気持ちを励みに私はさらに研究に邁進し、2報目、3報目の論文を国際誌に発表し、サイエンス・インカレに向けて新たな研究をスタートさせました。
 そして今年、第2回大会の書類選考を通過することができ、憧れの舞台で発表できることに胸をときめかしました。しかし、厳しい状況に見舞われました。医学科4年次の後期からは重い試験のラッシュが続き、一科目でも落とすと進級できません。私は日本学生支援機構優秀学生顕彰での受賞や米国での国際学会参加、メディアの取材などで迂闊にも浮かれ、ある試験で落第点を取り、サイエンス・インカレの1週間前に追試験を受ける羽目に陥りました。
 新しい研究を進めつつ、全試験を確実に通さなければならない緊張感。「余裕をもって発表の準備をするように」と恩師から度々忠告を受けた私ですが、サイエンス・インカレの1週間前まで、プレゼンの準備ができませんでした。
 試験がようやく終わり、急いでスライドを作ってリハーサルを行ったところ、「こんな発表ならしない方がまし」と教授からコテンパンに酷評されてしまいました。「スライドと原稿を一から作り直した方がいい」とアドバイスを受けたのは、サイエンス・インカレの実に5日前。私はそれからほぼ毎日徹夜状態でスライドを作り直し、教授や友人、家族から沢山のアドバイスをいただきました。スライドが完成したのはサイエンス・インカレ前日の夜。その後はひたすら発表練習を行いました。
 迎えた第2回サイエンス・インカレ口頭発表。何とか準備が間に合い納得のいくプレゼンをすることができ、審査員の先生方から「分かり易い発表だった」と好評をいただきました。その結果、幸運にも自分の発表が生物系の代表に選ばれ、翌日の決勝に駒を進めることが叶いました。そして更なる練習を積み、万全の状態で挑んだサイエンス・インカレ決勝。今までで最高のプレゼンをすることができました。15分間の質疑にも落ち着いて対応することができ、清々しい気持ちで発表を終えました。

 

文部科学大臣賞を受賞して

 憧れていた舞台で自分の研究成果を発表することができ、そのうえこのように栄誉ある賞をいただけたことに大変感動しています。このような研究発表の場を大学生に与えて下さった文部科学省、大学の先生方、企業の皆様に改めてお礼申し上げたいと思います。
 今回、研究成果にはある程度自信がありましたが、私は一般向けのプレゼンをしたことがなく、「自分の研究をいかに分かり易く魅力的に伝えられるか」という点で不安がありました。家族や友人、特進コースの先生方から多くのアドバイスをいただき、何度も練習に付き合ってもらったおかげで受賞できたと思っています。本当にありがとうございました。
 特別協力企業の東京エレクトロンFE株式会社・取締役会長の石井浩介さんが熱く語って下さったように、サイエンス・インカレは今後、理系学生の夢舞台としてますます発展していくと思います。全国に向けて自分の研究成果をアピールできる最高の舞台。そして、研究に明け暮れる全国の理系学生と出会い、切磋琢磨できる絶好のチャンス。それがサイエンス・インカレです。
 刺激的な出会いにあふれる素晴らしい大会ですので、後輩たちにはぜひ積極的にチャレンジしてもらいたいと思います。


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