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第29回日本疫学会学術総会

小村 慶和さん

医学部医学科 2014年入学

2019年1月30-2月1日 一橋大学一橋講堂、国立がん研究センター

この度、1年ぶり3度目の日本疫学会学術総会に参加してきました。たった三日間でしたが、一日が1ヶ月にも相当するほどのものを学んできましたので報告します。

 

ポスターにて、妊婦の再喫煙に関する発表をしました。学会では、自分の論文の査読者となりそうな人や同じ分野の人に積極的に話しかけてアドバイスをもらうことが重要です。口頭発表と違って、自分の方から人を捕まえられるポスター発表はその手段として最高のものです。当日、自分のポスター周辺で2~3時間ほど張り込みをし、何人かの先生を捕まえました。交絡の調整方法についてアピールし、研究の強みや限界についてアドバイスをもらいました。研究に足りない点や改良点、追加した方がよいと考えられる解析方法についても議論してもらいました。これは最高に有意義でした。同じ指摘であっても、その先生が書いたものを読むのと、実際に双方向のやり取りをするのでは、情報の量と質が全く違います。自分の主張に対して論理的に反応してくれる体験は、自分の論理的思考力を磨き、研究の質を上げるのに最適です。普段の指導をしてくれる講座の先生は良くも悪くも自分のことをよく知っていますので、アドバイスや意見が自分のためのものです。いわば、すべての議論が「峰打ち」です。でも、学会では一人の研究者として容赦のない指摘をもらいます。真剣勝負です。そんな先生方の興味を引き、論理的に説明し、そして納得してもらう、あるいは、自分の至らない点を指摘してもらい、それを修正するという体験は自分を大きく成長させてくれます。論文の査読では、この一連のやり取りに数か月かかります。しかし、学会であれば、これが数分のうちに行われ、そして何人もの先生に何度も挑戦できますから、最高の環境といえます。

 

また、懇親会にも出席してきました。3度目の参加ということもあり、顔見知りの先生が何人かいたのが幸いでした。その先生方が別の先生を紹介してくれたり、具体的にアドバイスしてくれたりしました。研究者としての進路や、研究者になるにあたっての障壁、更には先生の経験談や反省まで話してくれました。特に、狙える奨学金や海外大学院へ出願する際に必要となる手続きの詳細はまとまった資料が少なくよくわからなかったのですが、先生方のおかげでいつまでに何を準備すべきなのか詳細にイメージできるようになりました。

 

 自分の世界を広げられる、普段勉強している中では耳に入ってこない情報を手に入れられる、見落としていたものに気が付く、あるいは知り合いの先生の進捗状況をみて刺激をもらえる。これらは全て学会参加のいいところです。発表の準備をし、会場までいき、実際に発表してくるまでには膨大な時間と労力が必要になり、高学年になるにつれてその負担は大きくなってきます。しかし、その結果得られるものは、学内で研究していて得られるものとは全く違うもので、自分の研究を大きく前に進めてくれるものです。研究が遅れるどころかむしろその完成までの時間を短縮し、質を上げてくれます。

 

このようなチャンスを与えてくれる環境で研究活動を行えるのは、研究医養成コースの運営をしてくださっている先生方及び、必要な手続きを手伝ってくださる穴井さん、そして自分を受け入れてくれている社会医学講座のみなさんのご理解とご支援があってのことです。学年が上がるにつれて、そのありがたみを一層強く感じています。簡単ではありますが、この場を借りて感謝申し上げます。


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