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第75回日本公衆衛生学会総会

小村慶和さん

医学部医学科 2014年入学

2016年10月26-28日 グランフロント大阪

 第75回日本公衆衛生学会総会に参加し、ポスター発表をしてきましたので、報告いたします。今回は夏季リトリートで発表したものと同じテーマの研究を、より専門的な人々の前で発表し、意見をいただくことで、より良い研究にするための課題を見つけることを目標に、参加してきました。
 今回の学会は10月26日から28日までの3日間、大阪府大阪市で開催されました。私の発表は最終日である28日だったため、初日と2日目は普段お世話になっている先輩や先生方の発表や講演を聞きに行き、それ以外の時間は興味があるシンポジウムや講演を聞きました。その中で、普段学んでいることの重要性を再認識したり、新しい視点を持つことができたりしました。
 最終日は午前中に自身の発表があったため、朝早く会場に行き、発表の準備をしました。発表内容は「ペットの有無が高齢者の生活活動能力に及ぼす影響の検討」というテーマで、ペットの飼育が高齢者のADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)低下を抑制するかを検討しました。2003年に行った健康寿命実態調査に参加した、山梨県在住の65歳以上の高齢者を参加者としました。それらの参加者のうち、解析に使用するベースライン時の変数がすべてそろっている者を解析対象とし、2014年まで追跡したデータを用いました。ADLの評価にはTMIG-IC(老研式活動指標)を用いました。解析は、性別などの交絡因子で層化した後、層内で飼育群と非飼育群とでADLの変化率に違いがあるのかをt検定により評価しました。結果は、207人の男性と194人の女性が解析対象となり、女性と独居の人において、ペットの飼育がADLの低下を抑制することが示唆されました。この発表は、夏季リトリートで発表したものとほぼ同様の内容だったため、過不足なく時間内で発表を行うことができました。そして、質疑応答を受け、次の2点の改善すべき課題が得られました。1点目は、一般化可能性に関する考察が欠けていることです。2点目は、この解析方法では解析から除外される人が多いため、検出力が落ちると同時に選択バイアスが存在している可能性があることです。以上の点は、来年の1月に開催される疫学会までに解決できるよう勉強していきたいと思います。
今回の学会は私にとって非常に実り多き学会となりました。特に、研究の課題点は学会に参加し、質問や意見をいただいたからこそ、得られたものだと思います。このような経験が出来ているのは、日頃から忙しく仕事をこなしながらも、熱心に学生の面倒をみてくださっている先生方とこのような機会を与えてくださっている特進コースに関係している皆様、そして研究に参加してくださっている方々のおかげです。この場を借りて、御礼申し上げます。


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