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第64回日本糖尿病学年次学術総会 参加報告

結城 真広さん

医学部医学科 2016年入学

2021年5月20日-5月22日

私は今回、第 64 回日本糖尿病学年次学術総会にて口頭発表をさせて頂きました。指導し
ていただいた土屋先生、糖尿病・内分泌内科、ライフサイエンスコースの諸先生方に御礼
申し上げます。
今回は、今回私が発表しました内容は SPIDDDM(緩徐進行 1 型糖尿病)の診断時の糖尿
病罹病期間(糖尿病と診断されてからSPIDDMと診断されるまでの期間)と高感度C
RPが診断時の大血管障害を予測するという発表でした。
糖尿病総会は例年参加数が多く、コロナ以前は大変大きな会場で医師だけでなく様々なコ
メディカルな人も参加する学会でした。そのような学会でコロナのため、Web ではありま
したが口頭で発表する機会をいただけ、フロアから興味を持っていただけ質問もいただ
き、大変貴重な経験ができました。
今回の経験を糧に今後も研究・臨床の両方において、これからも努力していきたいと思い
ます。以下に抄録を記します。
【背景】糖尿病において、大血管合併症の進行は予後に影響する重要な因子である。
これまで 1 型糖尿病、2 型糖尿病ともに、大血管障害のリスク因子として HbA1c,LDL-C,喫
煙,年齢,血圧などが報告されている。一方、GAD 抗体を主とする膵島関連自己抗体が陽性
で、発症・診断時はインスリン非依存的であることが条件の緩徐進行 1 型糖尿病(SPIDDM)
に合併する大血管障害は、T2DM に合併する大血管障害より頻度が少ないことが知られて
いるものの、具体的な大血管障害予測因子についての報告は少ない。
【方法】2019 年 12 月時点で山梨大学病院通院中で、診断時血清が残存している SPIDDM
患者 43 名について、診断時の大血管障害(頸動脈エコーの総頸動脈 IMT で規定)を予測
する臨床的特徴・検査所見について検討した。
【結果】IMT 正常群(<1.1mm)、IMT 肥厚群(≧1.1mm)は各 23 名、20 名であった。
SPIDDM 診断時点の DM 罹病期間は SPIDDM 診断時の IMT と有意に正相関した
(Spearman の順位相関係数 r=0.584,p < 0.001)。SPIDDM 診断時の臨床的特徴・検査所
見を説明変数、IMT を目的変数とした重回帰分析により、SPIDDM 診断時の糖尿病(DM)
罹病期間が IMT の程度を予測する可能性が考えられた(p = 0.057)。
スタチン不使用者(37 名)における解析では、LDL120mg/dL 以上の群において、
LDL120mg/dL 未満の群と比較してIMT が肥厚している傾向がみられた(Mann-Whitney U
検定にて p = 0.061)。また、スタチン不使用で、hsCRP4mg/L 以上である群は、hsCRP4mg/L
未満の群と比較して有意に IMT が肥厚していた(Mann-Whitney U 検定にて p < 0.05)。
また、スタチン不使用者で LDL120mg/dL と hsCRP4mg/L を基準に 4 群に分けて解析を
行った結果、LDL120mg/dL 以上で hsCRP4mg/L 未満の群は LDL120mg/dL 未満で
hsCRP4mg/L 未満の群と比較して IMT が肥厚している傾向がみられた(post-hoc 検定の

Steel-Dwass の多重比較にて p = 0.056)。また、LDL120mg/dL 未満で hsCRP4mg/L 以上
の群において LDL120mg/dL 未満で hsCRP4mg/L 未満な群と比較して IMT が有意に肥厚
していた(post-hoc 検定の Steel-Dwass の多重比較にて p < 0.05)。
【考察】SPIDDM 診断時の DM 罹病期間が長い場合、血清 LDL 正常でも血清 hsCRP 濃度
が高値である場合は診断時に大血管障害が進行している可能性があり、より血管保護を考
えた治療を検討する必要があると考えられる。


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