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2023年度東日本研究医養成コンソーシアム 第13回夏のリトリート参加報告

小川 智誉さん

医学部医学科 2022年入学

2023年8月19日-20日 東北大学星陵キャンパス星陵会館

 今回私は、東北大学で開催された、東日本研究医養成コンソーシアム 第13回 夏のリトリート に参加させていただき、「Klf型転写因子Klf17Klf1の赤血球形成における機能的協調作用」という表題での発表をポスター形式で行いました。

 

 発表の際には質問をしてくださる方も多く、また、他の学生の方の発表の際にも活発な質疑応答が行われており、非常に刺激を受けました。今回の経験を今後の研究活動に活かしていくことが重要であると考えています。

 

 また、他大学の学生の方と交流をする機会があり、その際は部活動や学外での活動について様々なお話を伺うことができ、研究活動以外の面においても大変貴重な刺激を得ることが出来たと感じております。私は研究成果を発表することは初めてだった上、学外のこのような会に参加したことも無かったので、はじめは緊張していましたが、他の学生の方や教員の方と会話を楽しむことができ、楽しく過ごすことが出来ました。

 

 その一方で、私は他の学生の方の発表に質問をするといったことが出来ず、議論に積極的に参加できなかったということが反省点として残ってしまいました。議論を行うには知識をつけていくことが必要であると痛感しました。

 

 最後になりましたが、ポスターや原稿作成にあたり指導をしてくださった川原教授をはじめ、今回のリトリートの運営を行なってくださった東北大学のみなさま、研究活動を応援してくださっているライフサイエンスコースの教職員の方々、共同研究を行なった鈴木氏、曽根氏、川原教授に感謝申し上げます。この度は本当にありがとうございました。

 

 以下、発表の抄録となります。

 Klf型転写因子(Krüppel-like transcription factors: Klfs)は様々な器官形成に重要な役割を担っていると考えられているが、Klf型転写因子間の機能的な協調作用に関しては不明な点が多い。新規のKlf型転写因子であるゼブラフィッシュklf17遺伝子はklf1遺伝子と同じように造血発生の場であるICMに強く発現が誘導されることから、造血発生における生理機能の解明が興味深い研究課題である。

 ゲノム編集技術CRISPR-Cas9を用いklf17およびklf1遺伝子破壊ゼブラフィッシュを作製し造血発生における機能解析を行った。Klf1遺伝子破壊マウスは赤血球形成不全による胎生致死となることが報告されているが、klf1ゼブラフィッシュ変異体は顕著な発生異常を示さなかった。klf17ゼブラフィッシュ変異体も赤血球の循環が正常に認められたが、klf1klf17二重変異体では循環する赤血球の数が減少することを見出した。この結果は、Klf17Klf1と協調して造血発生を制御いていることを示唆している。klf1klf17二重変異体における2日胚の循環赤血球は野生型より大きな核を維持しており、赤血球の分化過程に障害があると考えられた。さらに、赤血球分化マーカー遺伝子の網羅的な発現動態をwhole-mount in situ hybridization (WISH)解析およびqPCR法で解析した結果、klf1klf17二重変異体では造血前駆細胞マーカー(cmybscl)は野生型と同等な発現強度が認められたが、赤血球成熟マーカー(band3alas2mitoferrin)の発現の減少が観察された。これらの結果は、Klf型転写因子Klf17Klf1が協調して赤血球の発生・分化を制御していることを示している。


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