この度は群馬県の伊香保温泉にて行われた東日本研究医養成コンソーシアム(第14回「夏のリトリート」)でポスター発表をさせていただきました。研究に熱心に取り組んでいる同世代の学生の皆様と交流し刺激をもらい、大変貴重な経験をさせていただきました。
今回の発表に際してご指導、ご支援いただきました大塚教授、濱田先生はじめ生化学第一教室の皆様、ライフサイエンスコース事務局の皆様に感謝申し上げます。
以下は発表の抄録です。
セリン/スレオニンキナーゼの一つAMPK (AMP-activated protein kinase) ファミリーは14種類のサブファミリーが同定されている。近年フォワードジェネティクスによる睡眠制御遺伝子の探索の結果、長期睡眠化Sleepy マウスとしてAMPKファミリーの一つSIK3 (Salt induced kinase 3) の変異マウスが発見された。しかしながら、SIK3が神経細胞内において、どの部位に局在し、どの分子と直接結合し、神経細胞でどのような機能を担っているのかという本質的性質は依然として不明であった。そこで、マウス脳サンプルからサブフラクションを調べた結果、SIK3はPSD画分に多く含まれることが明らかとなった。さらにマウス脳PSD画分から抗SIK3抗体で免疫沈降を行い、質量分析を行った結果、プレシナプスやポストシナプスに局在するいくつかの分子が同定された。それらの分子をHEK細胞にてSIK3と共発現し、共局在の割合を定量化し強く共局在するものを絞り込み、免疫沈降にて強く結合する分子を調査し、いくつか有力な候補分子を同定することができた。しかし、SIK3とこれらの分子が直接結合するのか、またその結合様式の詳細は不明なため、組み替えタンパク質を用いたプルダウンアッセイ等により直接結合の有無や結合ドメインの同定を今後行う予定である。