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第120回日本解剖学会総会・全国学術集会第92回日本生理学会大会合同大会・2015年度全国リトリート

城野 悠志さん

医学部医学科 2009年入学

2015年3月20-24日 神戸国際会議場・展示場

 私は今回、自分の研究発表が無いにも関わらず、先生方の寛大な取り計らいにより解剖・生理合同大会に参加させて頂きました。思い返せば医学科5年生の秋に解剖学講座細胞生物学教室で研究を始めて以来、質量分析と機械学習の研究は順調に進捗してきましたが、実験のためのまとまった時間が取れなかったこともあり、細胞生物学の研究はなかなか進められませんでした。6年生の後半には実験を一切しなくなり、一日中紙と鉛筆とコンピュータで研究をするようになってしまいましたが、将来的には数理科学の視点で“生命の神秘”を解明したいという思いがあったので、そうした研究への糸口を求めて今回の学会に参加させて頂きました。
 今回の解剖学会は生理学会と合同開催ということもあり、複雑な時系列データ、多変量データの解析が肝となる研究が多かったように感じました。実験や測定のための技術や装置が急速に発展して大規模なデータが得られるようになった一方、解析技術が追いつかないために情報の多くが見過ごされ、もったいなく感じる研究もいくつかありました。特に、電気生理や生化学反応などの結果について、ノイズの大部分を無視して大雑把な相関関係のみから単純な数理モデルを根拠づけている研究が散見され、もっと丁寧に解析しないと生命の神秘になかなか近づけないのではないかと感じました。また、ポスターや口頭発表の会場を自由に見学する中で柳田敏雄先生の「1分子から階層を超えて生体システムにつなぐ統合的研究」という教育講演を聞く機会がありました。従来の生命科学では無視されてしまうような分子のゆらぎを丁寧に評価することで、生命体の驚くべき効率性とロバストネスを発見することができたという内容であり、自分が将来生命の神秘を追究していくうえで大変参考になる研究過程だと感じました。
 現在は研修医としての業務が始まり、基礎生物学の学会に参加できるチャンスはほぼありませんが、その前にこのように自分の研究の方向性をじっくり考えられる貴重な機会を与えて頂いたこと、参加を支援してくださった竹田先生をはじめ、リエゾンアカデミーの皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。


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