この度は、東京慈恵会医科大学で開催された第131回日本解剖学会総会・全国学術集会において、ポスター発表の機会をいただきました。昨年に引き続き、同学会での発表は2回目となり、前回よりも落ち着いてディスカッションに臨むことができました。また、前回の発表テーマと比較して、実験結果と向き合う時間をより長く確保できたことから、より深い考察および議論が行えたと感じております。さらに、他大学の学生による発表にも触れることで、多くの刺激を受け、大変有意義な経験となりました。
今回の発表に際し、ご指導ならびにご支援を賜りました小田教授、久保先生をはじめ、解剖学講座構造生物学教室の皆様、およびライフサイエンスコース事務局の皆様に、深く御礼申し上げます。
以下は発表の抄録です。
真核生物の鞭毛・繊毛を構成するチューブリンは、翻訳後にグルタミン酸化、チロシン化、脱グルタミン酸化、脱チロシン化、アセチル化など様々な翻訳語修飾(PTM)を受ける。PTMは鞭毛構築や運動性に関与すると考えられており、特にグルタミン酸化は鞭毛の運動性に関わることが知られている。ところが、脱グルタミン酸化と鞭毛構築・運動性との関係など、まだ多くのことが分かっていない。本研究では真核生物における脱グルタミン酸化の機能を調べるために、クラミドモナスの脱グルタミン酸化酵素であるcytosolic carboxypeptidase (CCP)について解析した。
まず、CCP1, CCP2, CCP5をそれぞれノックアウトした変異株であるccp1, ccp2, ccp5の作製に成功した。これらの生化学的解析を行ったところ、ccp1とccp5においてはチューブリンC末端のグルタミン酸化が増加していた。意外なことに、いずれの変異株においてもチューブリンC末端における脱チロシン化が増加しており、特にccp2では著増していた。
脱グルタミン酸化や脱チロシン化と鞭毛運動性の関係を調べるために、遊泳速度を計測したところ、ccp1は遊泳速度が有意に低下していた。また、鞭毛構築との関連を調べるために鞭毛長を測ったところ、いずれの変異株も野生株と比べて鞭毛長が有意に短くなっていた。先行研究よりクラミドモナスの脱チロシン化酵素ノックアウト株において鞭毛内輸送(IFT)に異常が生じることが知られているため、現在はCCP変異株におけるIFTの異常を検証している。

